タートルスープとタートルスーププラスワンを考察【株式投資】

この記事は、下記の悩みを持つ個人投資家に向けて書きました。

  • 本を読んでもタートルスープの手法が分からなかったので教えてほしい
  • タートルスープの本質を知って実践で活かせるようにしたい
  • 有名な手法なので一応把握しておきたい
  • トレードのアイデアを増やしたい

記事を読むことでタートルスープとタートルスーププラスワンのやり方・本質が理解できます。

タートルスープのあらまし

タートルスープは、タートルズシステムのブレイクアウト手法のだましを狙う手法です。

タートルズシステムのブレイクアウト手法は、相場が急変して大きなトレンドになるときは、損小利大で大きな利益が得られます。

しかし、相場が急変するような大きな出来事は、長期間で見れば定期的にあるけど、通常、中々起きないので勝率が低かったのです。

勝率が低いということは、逆ポジションを持てば、勝率が高くなるということです。

これを利用すれば、タートルズシステムのような大きい値幅はとれないけど高勝率重視のスイングトレードならシステムになるのでは?と考えてローレンス(ラリー)・A・コナーズによって構築されました。

システム

仕掛け

過去4営業日(下のチャートなら②~⑤)を除いた過去20日間の高値(空売り狙い)もしくは安値(買い狙い)を更新した日を狙います。

タートルスープ手法を使った例をチャートで解説
※訂正:②緑点線ではなく、①の最安値の1円下にストップを置く。※空売りは逆です。

損切り

過去20日間の安値の5から10円上に指値を置き(チャート右は緑⑬・左は緑⑮)、取引が成立したら仕掛けた日の最安値より1円下に損切りの逆指値を置きます。

指値が成立しなければ、それ以上トレードしません。

利益確定

利益確定は、主観によるので短期狙いか中長期狙いかは、相場環境によって変えることができます。

ラリーは、一貫して短期売買に徹していました。

私の印象ですが、日本株の場合、タートルスープが狙える位置は、買いよりも売りの方が多く、その後、下がりやすかったです。

タートルスープ・プラスワンのやり方

仕掛け

タートルスープ・プラスワンは、タートルスープとほとんど同じですが仕掛けは3営業日(下のチャートなら②~④)を除いた過去20日間の高値(空売り)or安値(買い)を超えた次の日になります。

タートルスーププラスワンの手法のをチャートで例を出して解説
(クリックで拡大)※買いは逆です。

仕掛ける日は、過去20日間の高値または安値に指値でエントリーします。

タートルスープの場合は、過去20日間の高値もしくは安値の5から10円超えたところでしたが、こちらは同じ価格です。

私の経験だと、中期的な動きをとらえていれば、その日の14:30頃に普通に成行きで入っても利益を狙うことができます(特に株の場合)。

損切り

仕掛けが成功したら、すぐに前日の高値(赤線)もしくは安値の1円離れたところに損切りの逆指値を設定します。

利益確定

タートルスーププラスワンも利食いは、個々のトレーダーの主観となり相場環境から判断します。

私の経験では、タートルスーププラスワンの方が売買チャンスが多く(取引が成立しやすい)、前日に銘柄をピックアップしておけるのでスイングトレーダーにはプラスワンがおすすめだと思います。

手法の本質(だましのブレイクアウトを狙い撃つ)

ラリーによると先物で開発されたタートルスープですが、株でも同じパターンが存在すると明らかにしています。

しかし、ラリーが先物を選んだ理由は、出来高が大きいことです。

出来高が多ければ、一部の仕手筋に市場をコントロールされにくいからです。

つまり、個別株で使う場合は、なるべく出来高が多いものを選ぶといいでしょう。

相場の力学の観点から

ブレイクアウトは、多くの人が注目するポイントであり、エネルギーが集まる箇所でもあります。

エネルギーとは、相場参加者の数(既存の参加者+新規の参加者)もあるし、設定される損切りのための逆指値の増加のことです。

期待された方向と逆行したら、溜まっていた注文が入り、逆行をさらに加速させるのです。

相場環境にかかわらず、このエネルギーを利用したのがタートルスープのシステムです。

タートルスープを使わない人でも、このエネルギーの流れから保有していた株の利益確定の位置を決めたり、転換の試しの玉を入れることができますよ。

なぜ過去20日間なの?

過去20日間というのは、短期・中期のトレーダーや投資家が注目する数字であり、押しを2つ挟めば、大体3ヵ月の周期になります。

3ヵ月は、企業の決算短信が分かる時期でもあり、流れが変わったり調整に入る可能性が高いのです。

また、人の記憶の関係で1か月前に起きた出来事というのは、まだまだ鮮明であり短期から中期のトレーダーや投資家の印象に残りやすいのではないかと思います。

それは、移動平均線の中期線も18~26日くらいが機能しやすい理由でもあると思います。

これは、本書の発売から21年経った今でも変わっていません。

利益確定の位置について書かれていないので補強

本書では、利食いは主観と書かれていて、ラリーは短期の区切りに特化しているが環境次第でもっと長期の反転を狙うことも可能だということを示唆していました。

私がこのページで書いたように、タートルスーププラスワンを使えば、環境次第で勝率重視の短期売買かリスリワードレシオ重視の中期売買が可能だと思います。

環境とは、例えば、トレンドに逆行した短期的な反発、週足で見た中期的な転換点、中波動の調整などは、当然、それぞれの位置によってそこから伸びやすいかどうか違ってくるといったようなことです。

環境は、過去のチャートを解析して統計化すると分かってくるので、そこから利益確定のルールが見えてくるでしょう。

本書の手仕舞いで唯一語られていたのは、基本戦略は、手仕舞いの位置をきつくしていくこと(トレーリングストップ)、そして、急激な売り込みがあれば一旦手仕舞うようにすることでした。

タートルスープは、魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門という本に書かれている一つの投資システムにすぎません。

この本では、タートルスープのほかに80-20’、モメンタムピンボール、2期間変化率、アンチ、聖杯、ADXギャッパー、鞭打ち、3営業日以内に窓を埋める反転、百聞は一見に如かず、ウォルフ波動など多彩なスイングトレードやデイトレードに役立つやり方が載っています。

短期売買のアイデアを探している人は、本書を手に取ってみるといいかもしれませんね。

魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門(パンローリング)