ローソク足の十字線をマスターする

この記事は、下記の人へ向けた内容となっています。

こんな悩みを解決

  • ローソク足の十字線の投資家心理が分からない
  • 十字線の基本的な考え方が分からない
  • トレードでどのように使うか分からない

記事を読むことで、ローソク足の十字線の本質をしっかりと理解できます。

また、チャート分析にも応用できる内容になってるので、実際のトレードで役に立つと思います。

私が行っているトレードでは、ローソク足が重要な指標の一つということもあり、日々研究しているので濃い内容をお話しできると思ってます。


記事を読む前提として、注意してほしいことがあります。

それは、十字線の内容を理解さえすれば、上がるか下がるかを予測できるかもしれないといった短絡的な考え方は投資では通用しないということです。

逆に、十字線の特性から自分のトレードにどう役立てられるのか?という視点で読み進めていただければ、あなたの力になると思います。

例えば、他の指標と組み合わせたり投資家心理を読み取りながら、日々の動きを観察すると、あなたのトレード力が格段にアップしますよ。

十字線出現時の参加投資家の行動と心理

十字線とは、始値と終値が同じ価格のローソク足のことです。

一般的な十字線は、上ヒゲと下ヒゲのバランスが良く、投資家に十字という形以外に目立った印象を与えません。

一般的な十字線

十字線から読み取れる参加投資家の行動は、買い方と売り方の拮抗。

そして、参加投資家の心理は迷いです。

ただし、低位株や出来高が少ない銘柄には、しょっちゅう十字線がでてくる場合があります。

そういう銘柄の十字線からは、参加投資家の行動や心理を正しく読み取れないので注意してくださいね。

だから、トレーディングするなら、そのような銘柄を避けるべきです。


十字線は、始値と終値が同じ価格であることが条件ですが、始値と終値がほとんど変わらない場合も十字線と分析しても差し支えありません。

例えば、始値と終値が1円か2円違うときなどです。

どちらかというと、その日の変動幅(縦線)の長短の方が、実際に市場で起きた取引内容に違いがあったり、十字線完成を見た投資家の印象が違ってきます。

実際、十字線の種類別に名前が付けられていますが、これは、変動幅を意識して定義されていることが分かります。

十字線の種類

十字線の種類は、多くの書籍やWEB記事で語られているのですが、初心者の方もいると思いますので、実践論を交えながらここでも解説しておきましょう。

トンボ

十字線のトンボ

トンボは、寄り付きと大引けが同じ価格で、下ヒゲの長い十字線のことを言います。

上ヒゲが少し出てる場合と全く出ていない場合の両方ともトンボになります。

下落後に出現すれば売り圧力が弱まってきた、上昇後に出現すれば、買い圧力が弱まってきたと感じ取ります。

ただ、トンボ1本で大きなトレンド転換を判断することはできません。

なぜなら、ローソク足で分析できるのは、小勢(小トレンド)にすぎないからです。


上ヒゲが少し出ているトンボと出ていないトンボの違いは、ほとんどありません。

実践的には、下ヒゲの長さを気にした方が上手くいくし、多くの参加投資家が下ヒゲに意識を向けるでしょう。

株価が下げてきた後に出現した場合なら、下ヒゲが長ければ長いほど、売り圧力が低下して買いが入りはじめたのではないかと判断することができますよ。

下ヒゲが長いコマの場合も、ほとんど同じ判断をしています。

コマが陽線であるか陰線であるかの違いは、さほど問題ではありません。

私の場合、グラフを見て底近しと感じたら、試し玉を入れることが多いです。

足長クロス

十字線の足長クロス

足長クロスは、十字線の上ヒゲと下ヒゲが長くなった形で、買いと売りが激しく争った結果、拮抗を保って売買が終了した形です。

私の経験上、足長クロスや一般的な十字線は、もみ合いのような相場で短期の転換点になることが多く、上昇途中の買い圧力の低下や下落初めにも表れやすいですね。

足長クロスは、日中の変動幅はそこそこあったが買いと売りが拮抗して終えた形。

一般的な十字線は、日中の変動幅がほとんどなく、買いと売りが拮抗して終えた形です。

こういうローソク足が出現するということは、市場で値動きのボラティリティ(変動幅のこと)が小さくなってきたことを表します。

値動きは、変動から収縮して、また変動する特徴があります。

足長クロスや一般的な十字線は、基本的に収縮時に現れやすいです。

そうすると、その後は変動なので小勢のトレンド転換になりやすいんですね。

小勢のトレンド転換のイメージ

この足長クロスも分割売買で玉を入れる候補の一つにすることができますよ。

トウバ

十字線のトウバ

トウバは、長い上ヒゲをつけた後、株価が始値まで戻して終わった形です。

始めは買いが優勢だったけど、後から同程度の売りが出たことになります。

上昇トレンドの途中で出現すれば、少し警戒しますが、空売りや利益確定の売りを入れるのは慎重にならなければなりません。

なぜなら、天井圏では、もっと弱いローソク足が出やすいからです。

例えば、多くの人が逃げ遅れまいと考えるので連動して売られやすく、トウバで終わらず上ヒゲ陰線や上ヒゲ大陰線が出やすくなります。


下降トレンドの途中で出現すれば、下降の勢いは止まるかもしれないが、まだ上値は重く、すぐには転換しなさそうだと読むことができます。

ただし、酒田罫線法の混合二点底の亜種である上影の二点底が出た場合は、一応の買い線になります。

上影の二点底(酒田罫線法の型)

最後の上ヒゲ陰線は、陽線でも構わないのが酒田罫線法の教えです。

そうであれば、トウバでも良いということになりますね。

一本線

十字線の一本線

一本線は、寄引(よりひき)同時線ともいい、1日中株価が全く動かなかったことを表します。

実践的に出来高の多い銘柄では、ほとんどチャートに現れることがないですね。

もし、現れた時は、何か事件が起きたのではないか?と疑ったほうがいいでしょう。

下記は、2019/1/24のカブドットコム証券のチャートで一本線が現れたのですが、KDDIがカブドットコム証券に対して、1,000億円の出資をするというニュースが流れて(正式発表ではありませんでした)、株価がストップ高になり証券取引所が売買を停止した時のチャートです。

カブドットコム証券で出現した一本線の例

このように一本線が現れたら、何かあったのかなと調べてみるといいでしょう。

ちなみに上のチャートで買い方は、次の日かなり不利な位置で約定していますね。

私は、安定して勝ち続けるために、こういう相場には手を出さないようにしています。

実践での使い方は?

ローソク足は、多くの市場参加者がどのような見方をしたり心理状況なのかという観点から分析する必要があります。

市場参加者の見方や心理状況は、上昇・下降・もみ合い相場で変わってきます。

よって、それぞれの地合いで十字線が出現した時、どのように判断しているのか解説していきますね。

また、始値と終値が同価格ではないけど、ほとんど差がないコマ(中でも実体がほとんどなく十字線に近いローソク足)も十字線と同じように考えることができるので、同じように取り扱って解説していきますね。

上昇トレンドで出現した時の分析方法

上昇トレンドでは、十字線やコマが上昇中に出たのか、押しで出たのかによって違った見方をします。

上昇トレンド中の十字線の分析

上昇中に出現した場合(チャートの赤枠と青枠)は、そこで上昇が終了して押しに入る可能性があると見て何もせず次の日を迎えます。

次の日、そのまま上昇すれば(青枠)、市場参加者が迷った結果、上昇継続で合意したと読みます。

次の日、反落すれば(赤枠)押しか転換のどちらかになったと読むことができます。

この反落が大陰線のように急落した場合(特に上昇トレンドが進んだ後、例えばチャート右上の赤枠)は、中期的な転換か調整の警戒をします。

逆に、小陰線(陽線)であれば、小幅な調整ではないかと考えます。

特に、出来高が少なくて短いローソク足なら押しの可能性が高くなり、まだポジションを解消するときではないと判断することが多いですね。

出来高とローソク足の分析方法については、下記の記事を参考にしていただければと思います。

一方、上昇トレンドで押した後、十字線やコマが出現した場合(緑枠とオレンジ枠)は、そろそろ下げ止まるのではないか?と考えます。

リズム取りをする場合、ここで分割の買いを入れることが多いです。

リズム取りとは、小さな波を狙ったうねり取りの一つの方法です。

下落トレンドで出現した時の分析方法

下降トレンドでは、上昇トレンドと同じ考え方で逆の分析をします。

すなわち、十字線やコマが下降中に出現したのか、戻りで出現したのかに分けて考えます。

下降トレンド中の十字線の分析

下降中に出現した場合(青枠と赤枠)、次の日に下降を継続するのか、それとも戻すのかを注視します。

次の日も下げれば(青枠)、市場参加者が迷った結果、まだ売りと判断したことが分かります。

次の日、上昇すれば(赤枠)、戻りをつけるのか転換するのかになるので、そこに注意しながら観察します。

戻りか転換なのか判断するには、反転するローソク足をよく観察して強い動きなのか上値が重く弱い動きかで判断することが多いです。

この時、チャートの最後の赤枠の後のように強い動きであれば、現在の下降トレンドが終了する可能性を想定しなければなりません。

下降トレンドは、上昇トレンドよりスピードが速い傾向にあるので、特に暴落時などは、最後の方まで十字線やコマが出現しない場合もあります。

下降トレンド後半で十字線が出現し始めると、売り勢力が弱まって買い勢力が出てきたと判断できます。

そうすると、転換が近いかもしれないと読むことができますよ。

レンジで出現した時の分析方法

レンジとは、株価がある一定範囲を往来しているもみ合いのような動きのことを言い、値動きにトレンドはありません。

レンジ相場

ただし、一定の範囲内(上のチャート場合、上下の水平線)で短い上昇トレンドと短い下降トレンドが存在します。

その中で十字線やコマが出た後の動きは、中期的な上昇トレンドや下降トレンドの動きと同じです。

中期的なトレンドとは、はじめは短いトレンドの3倍ほどの大きさと思っていただけると分かりやすいです。

レンジの上限や下限で十字線が出現すると、中期的なトレンドと比較して転換しやすい傾向にあります。

上昇から下降の場合は、上ヒゲを伴ったコマや十字線が多くなり、下降から上昇の場合は、下ヒゲを伴ったコマや十字線が多くなります。

もちろん、上ヒゲ陰線や下ヒゲ陽線も多くなりますので同時に見ると、より相場転換のシグナルを発見しやすくなりますよ。

なお、十字線やコマをはじめ、酒田罫線法を起源とするローソク足の基本的な動きや型は、その本質について理解していないと実践ではほとんど活かすことができないでしょう。

残念ながら、マイナスに作用することも多々あります。

ローソク足の本質と正当な酒田罫線法、そしてその弱点をカバーした売買法については、私のnoteで公開していますので参考にしていただければと思います。

以上、ローソク足の十字線の分析結果でした。

ローソク足は、一発必中のあてもの的取引を想定したインジケーターではありません。

分割売買を基本としたうねり取りを想定したインジケーターなのです。

うねり取りのやり方は、下記の記事で無料公開していますのでご参考いただければと思います。

また、十字線やコマの分析は、明けの明星と相性がいいので同時に覚えておくとチャートの分析力が高くなりますよ。

下記の記事で学ぶことができます。