
「株式投資の上級者から出来高が重要だと聞いたけど、どのような見方をすればいいか分からない」
「色んな投資情報を見たけど、ローソク足と出来高の関連性が理論的に解説されたものがなかったのでしっくりこなかった」
あなたはこのような悩みがありませんか?
ローソク足と出来高を分析すると、プライスアクションだけでは分からないマーケット参加者の動きを可視化することができます。
そこで、この記事では、ローソク足と出来高の見方を解説しましたのでチャート分析の一助になれば幸いです。
記事の内容は、私の経験と研究を元に実際に私が使っているローソク足と出来高の読み方を書いたものです。
ローソク足と出来高で何が分かるのか?
「安く買って高く売る」
「高く空売りして安く買い戻す」
「配当を受ける」
これらが利益を生み出す唯一の方法であることに異論はないと思います。
では、市場をリードできる機関投資家や大口投資家、ヘッジファンド(以後大きな投資組織と呼びます)はこの仕組みを見てどのように動くでしょうか?
大きな投資組織が狙っているのは、個人投資家の資産です。
なぜなら、大きな投資組織同士では、手の内が分かっているので、騙し合いが通用しづらく、大きな利ザヤを得ることができないからです。
その点、勉強不足で知識が足りなかったり、経験不足でマーケットで何が起きているか理解できない個人投資家からなら富が奪いやすいのです。
では、彼らはどのようにして個人投資家から資産を奪おうとするのでしょうか?
彼らが主に利用するのは、経済・金融などのニュースや事件、地政学リスクなどです。
良いニュースで価格が跳ね上がったところで利益確定や空売りをして、悪いニュースで価格が大きく下がった後に買いを仕込むのです。
大きな投資組織がこのように動くことで、最初に話した安く買って高く売る、または高く空売りして安く買い戻すという目的を達成することができるのです。
大きな投資組織は、長期投資だけをやっていそうですが、利ザヤが得られそうな場面なら、短中長期のフラクタルな時間構造のどこでも参加してきます。
あなたが、莫大な資金を持っていて、組織的に動くことができれば利益を上げるため同じことをしますよね?
彼らの動きは、プライスアクションだけでは見抜くことができません。
実際、テクニカル分析で何度もだましにあった個人投資家の方が多いでしょう。
それらを見抜こうとするのがローソク足と出来高を使った分析法なのです。
出来高とローソク足の見方の基本
基本的にローソク足の実体の長さが大きければ、出来高が増加して、ローソク足の実体が小さければ、出来高も小さくなるのが市場参加者の総意を表した正しい状態です。
正常なローソク足と出来高

なぜなら、例えば、市場参加者の総意が買いなら平均的に出来高を伴って上昇するからです。
逆に、市場参加者の一部が大きな買いを出しても、その後に出来高が続かなければ、価格だけ上がった状態で出来高は少なくなるのです。
正常ではないローソク足と出来高

一方、値幅が小さいということは、市場参加者の多くが様子見しているわけだから出来高が小さくなりやすいです。
逆に、薄商いの中で市場参加者の一部が大きく売った場合、実体に比べて出来高が大きくなるんですね。
正常ではないローソク足と出来高

市場参加者の一部というのは、大きな投資組織を指します。
大きな投資組織が個人投資家の反応を伺うときにこのような動きが起きるのです。
そして、この正常な関係と正常でない関係を使ってローソク足と出来高を分析するのが基本となります。
出来高の大小は、周りと比較して相対的な見方になるので、そこに理論はほとんど存在せず、アート的な領域の話となります。
なぜなら、大きな投資組織がバレバレな利益確定の仕方や仕掛けをすると狩りの獲物が一目散に逃げ出します。
獲物が逃げ出さないように、状況に応じて気づかれないように仕掛けてくるから理論ではなく現場の感覚で見抜く必要があるというわけですね。
その方法がローソク足と出来高分析なのです。
なぜ天井圏では出来高が増えるのか?
天井圏は、言うまでもなく大きな投資組織が利益確定したいところです。
大きな投資組織が利益確定したいポイントは、カモになる個人投資家が大量に押し寄せてきて、彼らが買い終わったら、その後に買う人がいなくなるだろう場面です。
だから、ニュースなどを利用して(に乗じて)価格を釣り上げて、大きく上がったところを利益確定するわけです。
これは、大きな投資組織の買った株が空っぽになるまで断続的に続きます。
天井圏でのローソク足と出来高の見方
天井圏では、窓を開けて価格が跳ね上がると急落して、また上がるといったことを繰り返して、値動きの激しいボックス圏に突入します。
これを見極めるには、価格が跳ね上がったこと、上髭の陰線や行き詰まり線、かぶせ線といったローソク足が出来高を伴って出現することに注意するといいでしょう。

とくに、大きな価格上昇の後の小線の出来高が大きければ、天井圏への警戒が必要になります。
ただし、トレンドというものは大きければ大きいほど、急反転することができないので、これらの現象が起きたからといって、すぐにトレンド転換するわけではないことに注意する必要があります。
また、赤丸付近で価格が上がってるのに、相対的に出来高が少ないときは、参加するカモが少なくなってきたことを意味します。
底値圏の見方
底値圏では、大きな投資組織が株を買い集めるポイントになります。
大きな投資組織が株を安く買い集めるには、個人投資家に投げ売りしてもらう必要があります。
だから、上昇したら下げへの試しを実行して、個人投資家を恐怖や失望させて投げ売りをさせるのです。
これを振るい落しといいます。
やがて、下げへの試しを実行しても価格が下がらなければ、大きな投資組織は、最後の買いに走り価格が上昇し始めます。

底値圏では、サポートとレジスタンスラインができて価格が行ったり来たりすることが多いのです。
ボックスの下限もしくは、下限を少し割ったところに来ると反発することが多いのですが、下限もしくは下限を少し割ったローソク足が下ヒゲで出来高が急増していた場合、大きな投資組織が買い向かっている可能性が高いです。
そういうところは、次の日、反発したところで買いを仕込んでみるといいでしょう。
また、ボックス上限でローソク足と出来高が正常の関係でない動きで下げた後、下げが浅い場合は、絶好の買い場となるのです。
また、その買い場では、下ヒゲの小線で出来高が急増していることがあるので、それをシグナルとすることも可能です。
トレンド中のローソク足と出来高の見方
「トレンドは出来高によっても確認できなければならない」
これは、有名なダウ理論の一説ですが、株価がトレンドを形成して上昇するときは、出来高を伴わなければなりません。
そして、押し目であれば、感情的になっている投資家が少ないので出来高は静かに推移します。

これは、下降トレンドでも同じことが言えます。
すなわち、正常なトレンドなら下げは出来高が多くなり戻りは出来高が小さくなります。
これらの関係を理解しながら、分析していくことでトレンドに乗ったポジションを守っていくことができるんですね。
ローソク足と出来高の関係をもっと深く学びたい人は、VPA理論について書かれた「出来高・価格分析の完全ガイド」という本を参考にするといいですよ。
ローソク足を使っても上手くいかない原因と対策
ローソク足の源流は、江戸時代に考案された酒田罫線法です。
酒田罫線法は、値動きを見ながらポジションをコントロールして利益を積み増す建玉法を重視した手法です。
ローソク足の型は、建玉法を活かすものであり一発必中のトレードを推奨するものではありません。
私も以前は、一発買いのトレードをしていましたが不可解な相場の動きにイライラしてメンタルを崩すことも多々ありました。
ところが酒田罫線法の建玉法を意識することで、損は少なく利益を大きく狙える位置でポジションを持つことができるようになり、トレード成績も安定してきました。
酒田罫線法については、現代のトレーダーでも分かりやすく下記のnoteでまとめておきましたのでご参考いただければと思います。
購入者様へお知らせ 2020/11/4に、より実践で役立つと思うポイントを3項目追加+1項目更新しました。更新状況は、目次の日付で確認できますので、空いた時間に学習を進めていただけたらと思います。 -------本文はここからです------- 多くのトレーダーが日々解析に励むローソク足。 型をしっかり覚えたのに、実践で役に立っているような、いないような・・・そんなモヤっとしたものになってないだろうか? 何事も基礎が大事ですが、基本の教えについて本質を理解していなければ、実践で活かすことはできません。 むしろ、ローソク足の強弱で心が乱されるので、折れ線グラフにした方がいい