ローソク足の切り込み線とかぶせ線の解説

この記事は、下記の人へ向けた内容となっています。

こんな悩みを解決

  • かぶせや切り込み線がややこしくて混乱する
  • 似たような線があってワケが分からない
  • 実戦での使い方が分からない
  • 投資家心理が知りたい

記事を読むと、かぶせ線と切り込み線、そして類似した線について完全に理解できるので実戦での対処の仕方が分かるようになります(攻略方法の一部も掲載)。

実際に私が行っているトレードでは、ローソク足が重要な指標の一つということもあり、日々研究しているので濃い内容をお話しできると思ってます。

かぶせや切り込み線は出現するシーンで読み方が変わるので、前提知識として、 株価の流れが読めるようになる必要があります。

株価の流れについて、右も左も分からない人は、まず下記の記事から読むと理解が深まりますよ。

基本の形と意味

かぶせ線と切り込み線は、お互いが逆の形ですが、それぞれの基本の形と投資家心理を解説します。

かぶせ線

ローソク足のかぶせ線

かぶせ線は、しばらく上昇した後に出現すれば下落への転換を示唆する並びです。

かぶせ線の形の特徴

かぶせ線の形は、当日の寄りで前日の高値より高く寄り付いたが、引けが前日の陽線のローソク足の実体の半分より下まで下がった位置になっている状態と定義されています。

チャート例です↓

かぶせ線が出現したチャート例
(前々日の陰線でも弱っているなどを確認しながら併用して考える)

基本的な意味をもう少し突っ込むと上昇後でかぶせ線がでると一旦の押しか転換の可能性があるのですが、その判断は、トレンドと出現箇所にもよるので出現したら即エントリーといった判断は中々しづらいのが私の分析結果です。

投資家心理としては、上昇してきて、さらに上で寄り付いたが前日の半値まで戻したことから、そろそろ利益確定がでてきそうだと不安になってきたイメージだと思ってもらえればいいと思います。

切り込み線

ローソク足の切り込み線

切り込み線は、しばらく下落した後に出現すると上昇転換する可能性があるまあまあ強い線です。

ローソク足の切り込み線の形の特徴

線の特徴は、前日の安値より低く寄り付いたが、引けには前日の陰線ローソク足実体の半分以上戻して取引が終了した形になってる状態です。

チャート例です↓

切り込み線のチャート例

私が分析した結果、切り込み線は、中波動での出現が転換する可能性が高いような印象があります。

チャートでは、陰線新安値7本付け、ボリンジャーバンド2σを2日前につけた辺りから株価の下落の勢いが止まって切り込み線の出現で転換しました。

下落のボラティリティが高かった分、反発したようです。

覚え方=実戦での考え方に直結する!

上昇後に上ヒゲがでたら下落への転換の暗示 (陰線>陽線) 、下落後に下ヒゲがでたら上昇への転換の暗示(陽線>陰線)だということは、初心者の方でも理解できていると思います。

知らなかった人は、ここで覚えておきましょう。

実は、かぶせ線や切り込み線の2本のローソク足の動きを1本にすると上ヒゲや下ヒゲの形になります。
かぶせ線の動きを結合すると上ヒゲコマの陽線になる

かぶせ線の始値・終値・高値・安値を考慮して結合させると上ヒゲコマの陽線になり、しばらく上昇した後に出現すれば売り圧力が出てきたことが分かります。

切り込み線を分解して結合させたら下ヒゲコマの陰線になる

切り込み線を同じように1本にまとめると下ヒゲコマの陰線となり、しばらく下落した後に出現すれば買い圧力が高まってきたと言えます。

ところがかぶせ線や切り込み線は、2日かけて出来上がった形なので、1日で形成された上ヒゲや下ヒゲよりも信頼度が高いと私は考えています。

信頼度は、5分足<1時間足<日足<週足<月足のように大きな出来高で出来上がった足の方が高いということを『 【株価先読み】値動きの仕組みを完全理解【勝率アップ】』という記事でお話ししました。

初めは、かぶせ線や切り込み線をバラバラに覚えるというよりも上ヒゲ・下ヒゲに直すことで強いか弱いか判断すればいいと思います。

慣れてきたら、変換しなくてもパッと見ただけで分かるようになりますよ。

この考え方を応用すると、例えば切り込み線と抱き線を比べた場合、どちらが信頼度が高いか判断できます。

抱き線を分解して結合すると下ヒゲ陽線になる

先ほどと同じように、抱き線を1本にすると下ヒゲ陽線と同じ形になりますので、下ヒゲコマの陰線となった切り込み線より買い圧力が強いことが理解できましたね。

間違えたらアウト!類似の並び

酒田五法には、切り込み線に似た線であて首や入首線、差し込み線があります。

また、かぶせでも上昇初期に現れた場合、ちょっとしたポイントがあるので、ここではそれらを解説していきますね。

あて首と入り首

入り首線とあて首線のローソク足の並び

入り首線は、前日の引け値より下で寄り付いた後、上昇して前日のローソク足の実体まで戻したがその半分までは戻さなかった状態です。

一方、あて首線は、同じように前日の引け値より安く寄り付いたが、前日のローソク足の安値まで届かなかった状態と定義されています。

両方とも前日のローソク足の半値まで戻さなかったことから、まだ売りが優勢だと考えられます。

入り首線のチャート例

前日と当日で大きな窓を開けた後のコマなら、明けの明星になるので逆張りなら早とちって買いがちなのですが、下落初期や中期では、入り首線とあて首線がでてきた後、まだまだ下落することが多いので要注意ですよ。

差し込み線(下げ足)

下げ足の差し込み線のチャート例

上のチャートの赤丸部分のように、下落初期で差し込み線が出現した場合、酒田五法では追撃売りのチャンスとみなされることから切り込み線と思い買いを入れるのは危険です。

切り込み線と差し込み線の違いは、当日の終値が前日のローソク足の半分以上か半分くらいかで非常に曖昧です。

しかし、そもそもローソク足の使い方は、出現箇所によって意味が変わってくるので(投資関心理が変わり捉え方が変わるので)当然のことです。

基本的には、下落初期の切り込み線は、下げ足の差し込み線の可能性があり危険だという認識でいいでしょう。

下落初期とは、分かりやすいのが、大きな上昇後のもみ合いを経過してデットクロスが出現したあたりと個人的には分析しています。

下げ足の差し込み線の逆で上昇中に、差し込み線が現れた場合、買い場と言われていますが、私の場合は、中陰線が出始めた後の陽線あたりといった、中途半端な位置で買うとリスクが高いのでスルーしています。

それでも買いたい人は、日柄の確認や最後の抱き陽線としっかり区別して、恐る恐るエントリーするしかないと思います。

カブセの上抜け

かぶせの上抜けは、似たような形を含めて上昇初期でよく出現するので覚えておいて損はないと思います。

かぶせの上抜け

形は、前日・前々日でできたかぶせ線を当日に陽線の終値が前日の陰線の高値を抜いている状態です。

実戦的には、真ん中の陰線が1本ではなく2本であったり、形が崩れていることが多いので似たような形でもエントリー可能だと思っています。

カブセの上抜けのチャートでの例

完全なカブセ線にはなっていませんが、きれいな形よりこういった類似した形で上がっていくことも多いので、移動平均線の位置とトレンドを確認しながらエントリーしていきましょう。

実戦的な使い方(まとめ)

下記のチャートのような中波動では、カブセや切り込み線出現による転換が多いのでエントリーの決め手の一つにしてもいいでしょう(入り首・あて首に注意しながら)。

(このような中波動の転換では酒田五法の並びが転換になることが多い印象があります。)

逆に、ゴールデンクロスやデッドクロスを伴った大きな上昇初期や下落初期では、出現後すぐに反応せず、カブセの上抜けや下げ足の差し込み線出現で順張りでエントリーするのが王道だと思います。

なお、酒田罫線法を起源とするローソク足の基本的な動きや形は、その本質について理解していないと実践ではほとんど活かすことができないでしょう。

残念ながら、マイナスに作用することも多々あります。

ローソク足の本質と正当な酒田罫線法、そしてその弱点をカバーした売買法については、私のnoteで公開していますので参考にしていただければと思います。