赤三兵(ローソク足)

「赤三兵で買ったり、黒三兵で空売りしても、すぐに逆行してうまくいかない」

このような悩みは、ローソク足の型を使って上がるか下がるか当てようとするトレーダーに生じるものです。

明治以降に作られた外国罫線法と酒田ブランドを掛け合わせて作られた酒田五法は、型の成立により当てることを主とした取引法を伝えています。

ところが、江戸時代に経験則的に伝えられて明治以降に相場師たちの手によって体系化された酒田罫線法は、当てるのではなく建玉法を使って波乗りすることを主とした取引法です。

このことを前提に、赤三兵と黒三兵の型の成立で取引しても勝てない理由を解説していきますね。

赤三兵と黒三兵の定義

酒田の型は、底型と押し型(買い線)・天井と戻り(売り線)の4つに分類されます。

赤三兵は、底型、黒三兵は、天井型です。

赤三兵は、陽線が3本重なって出現することで型成立となります。

陽線の大きさやヒゲの長さなどの細かいガイダンスは伝えられていません。

ローソク足の特徴からすると、周辺のローソク足と比較して相対的に判断するのではないかと思います。

酒田五法や流布本では、陽線三本出現でトレンド転換したとみて買いを入れると伝えられています。

一方、黒三兵は、赤三兵の逆で陰線が3本重なって出現することで型成立となります。

黒三兵は、三羽烏とも言われ、酒田五法や流布本では天井型として伝えられています。

酒田五法や流布本では、陰線3本出現で空売りを入れるとされています。

思案星・先詰まりは目先の弱さを感じ取れるだけ

赤三兵と黒三兵の変形に、思案星や先詰まりの型があります。

赤三兵先詰まりと思案星の型

赤三兵先詰まりは、勢いよく上昇してきたが頭を押さえられたことを意味する型で売り線を意味します。

一方、赤三兵思案星は、勢いよく上昇してきたが、市場参加者に迷いが出てきたことを表す型で様子見を意味します。

黒三兵先詰まりと思案星の型

黒三兵先詰まりは、勢いよく下降してきたが下値で反発してきたことを意味する型で買い線を意味します。

一方、黒三兵思案星は、勢いよく下降してきたが、市場参加者に迷いが出てきたことを表す型で様子見を意味します。

赤三兵や黒三兵の勝率は?

赤三兵と黒三兵の勝率を語る前に、市場の前提条件を知っておく必要があります。

株式などの市場では、どの時点においても次の日に上がるか下がるかは1/2の確率を超えることができません。

これは、過去の値動きのパターンと未来の値動きになんら関係がないことを証明しているランダムウォーク理論によって解明済みです。

つまり、赤三兵が出現した次の日も株価が上昇する確率と黒三兵が出現した次の日に株価が下落する確率は1/2を超えることはできません。

もし、1/2以上の確率で当てることができるシグナルが発見されたのなら市場が崩壊してしまいます。

ネットでもいろんなブロガーさんが、赤三兵や黒三兵の検証結果を公開していますが、大体50%弱の結果になっています。

これだけで、赤三兵や黒三兵を狙って売買するのに優位性がないことが分かりますね。


しかし、よく考えると株価が次の日に上がるか下がるかということと勝率は関係ありません。

例えば、赤三兵が出現したから買った後、下記のようなことが考えられます。

  1. 下げたが我慢していたら上がったので利益確定できた。
  2. 下げたので我慢していたら、どんどん下がっていき大きな損になった。
  3. 下げてきたので損切りした。
  4. そのまま上がって利益確定できた。
  5. 一度は上がったが利益確定せずにいたら下げて損をした。

この5つの例を考えると、仕掛けに問題があるのではなく、仕掛け後の値動きを見て判断する能力のほうが重要だということが分かります。

仕掛けのシグナルに優位性がないなら、赤三兵で買い・黒三兵で売りという取引法は役に立ちません。

赤三兵先詰まりで売り・黒三兵先詰まりで買いというやり方も同じことが言えます。

これが、酒田五法や流布本の誤りであり、本来の酒田罫線法ではこのようなやり方をしません。

実は陽線三手戻し(仕掛け花火)と同じ

酒田の陽線三手戻しとは、下降トレンド中に陽線3本戻すことを言い、売り線の型と定義されています。

陽線三手戻しと赤三兵の型を区別することはできません。

しかし、相場経験が長い人は、値位置や直近の値動き、周期から大体の違いを判別することができます。

例えば、誰もが分かる下降トレンドでは、陽線が連続3本でることが稀です。

だから、陰線の新値を数えながら、値位置を判断して終期であれば陽線三手戻しではなく、赤三兵と判断することができます。

なぜなら、今までの下げ傾向になかった変化がでたと判断できるからです。

また、上昇トレンドから下降トレンドに転換したかどうか迷う位置では、買い方が激しく抵抗することから陽線三手戻しが出現することもあります。

陽線三手戻しの形にならずとも、2番天井では激しく上昇して下げるパターンが多いです。

ここまでの情報を総合すると、本来の酒田罫線法では、陽線三本出た後は一応売りとされています。

このとき、赤三兵先詰まりがであれば、心理的に空売りの玉を入れやすいだけということになります。

この考え方は、当てようとしているわけでなく、建玉に優位性を見出しているからです。

一方、陰線三手押しも逆であるだけで同じことが言えます。

一般的な三手と新値を重視する酒田の三手は別の意味になることがありますが、赤三兵・黒三兵に限っていれば、共通しています。

ただし、どれだけの数量を売るのかについては個人の資金量を鑑みて裁量的に判断するとされています。

酒田五法や流布本では、このようなローソク足の見方・使い方を知らず、当てもの的売買を推奨しているので、多くの個人投資家が負けるのです。

なぜ、正しい情報が伝わらないのかというと、正しい情報を伝えたとしても大衆のほとんどは見向きもしないので作り手の利益にならないからです。

このように、酒田罫線法を起源とするローソク足の基本的な動きや形は、その本質について理解していないと実践では全く活かすことができません。

残念ながら、マイナスに作用します。

ローソク足の本質と正当な酒田罫線法、そしてその弱点をカバーした売買法については、私のnoteで公開していますので参考にしていただければと思います。