
この記事は、株式投資はゼロサムゲームなのか?こんな疑問を持つ個人投資家やこれから株式投資を始めようか悩んでる人向けに書きました。
一般的に、株式は企業活動のための資金であり、その資金を元に新たな価値を創造することができる一方、新事業に失敗することもあります。
つまり、株の銘柄の価値の総和が上がったり下がったりするので、プラスサムにもマイナスサムにも変化しうる非ゼロサムゲームになるというわけです。
しかし、個人投資家から見たらどうでしょう?
株式市場に対する小口の個人投資家一人の資産は、微々たるものです。
価値の総和が変化しようが影響を受けないのです。
ということは、ゲーム参加者同士の取引の合計がゼロになるかどうかで判断した方が実践的ではないでしょうか?
株式投資の取引は、あなたが利益確定をするために株を売れば、その株を買って引き継ぐ人がいるわけです。
株価は、右肩上がりに上昇し続けるものではないので、いつかは下がります。
例えば、あなたが持っていた株が上がったので利益確定したとすると、あなたが直接売った人が損をしなくても必ず、あなたが利益確定をした分、誰か損失を出す人がいるわけですね。
お金は、市場全体の価値がプラスになろうがマイナスになろうが、基本は取引する人同士の口座間を行ったり来たりしているわけです。
このようにミクロな面から見ると、ゼロサムゲームのようにも見えてきますね。
しかし、株式投資するためには、証券会社へ支払う手数料(往復分)と成行き注文した場合に発生するスリッページが必要になります。
最近の傾向として、取引手数料は少額になりつつありますが、私のように100万単位で取引する人は、1回で1,000円前後とられるので年間計算すると馬鹿になりません。
特に、短期売買を繰り返せば返すほど手数料の負担が大きくなります。
そして、もっと気を付けなければならないのがスリッページです。
スリッページとは、成行き注文を出したときに、買いならば少し上の金額で売買が成立したり、空売りなら少し下の金額で売買が成立することです。
出来高が多い銘柄で取引が穏やかな日なら1ティップから3ティップくらいの間で収まることが多いですが、出来高が少なかったり、ボラティリティが激しい日は、大きくズレる場合もあります。
スリッページが1~3円ずれた場合、1,000株なら1,000円から3,000円余分に経費を払うことになります。
また、10,000株の取引をした場合なら、1万円から3万円余分に経費を支払わなければならず、年間にすると相当なものになるのです。
年間収支がトントンの人なら、この経費を差し引けばプラスに転じることもあるでしょう。
成行き注文によるスリッページを防ぐには、指値注文を有効に使う必要があります。
指値注文は、その金額でないと取引しないという意思表示なので、金額のズレがないからです。
ただし、損切り注文を出す逆指値の場合は、そうはいきません。
〇〇円以下になったら成行き注文で決済するとしておかないと、ボラティリティが大きい動きが出た場合、注文が通らず必要以上に資産を減らすリスクにさらされるからです。
損切り注文は、あくまで資産防衛のためにあるからやむを得ないのです。
最後に、これらをなんとかこなし、やっとのことで年間利益を出したとしましょう。
そうしたら、待ってましたとばかりに利益から20.315%の税金を徴収されるのです。
ここまでの話で分かるように、株式投資は、参加者間のお金の移動ではなく、証券会社や国といった市場の外へお金が移動するので、総和としてはマイナスになるのです。
つまり、経済学での意味は別として、実践上、株式投資は、投資家や投機家にとってマイナスサムゲームだという結論に至るわけですね。
このように、厳しい現実と向き合いながら投資やトレードをすると、気が引き締まり、不用意な取引を避けるようになるでしょう。
そして、いかに株式投資の勉強や検証が重要なのか分かると思います。