株価の予想は当たらない

日経平均が30年ぶりの高値を更新して空前の株式ブームになっている。

そうなると商売繁盛するのが「証券アナリスト・投資予測系YouTuber」だ。

しかし、助言を聞いて取引した個人投資家は口をそろえて「彼らの相場予想は当たらない」という。

なぜだろうか?

この記事では、その理由を順番に解説していきます。

株価を予測している専門家は相場を張っていない

「専門家は相場を張ってないから株価が予測できない」というと、「いやいや、〇〇さんはちゃんと身銭を切って投資をしてるよ!」と反論がくるかもしれない。

確かに、自分が株価予測した銘柄の一部を取引しているかもしれない。

しかし、どうだろう、毎日色んな銘柄・セクター予測を更新するYouTuber、レポートを書くことを生業にしている証券アナリストは、自分が予測したすべての銘柄にお金を投じているだろうか?

答えは、Noだ!そんなことをしていたらお金がいくらあっても足りない。

自分が実際にお金を突っ込む銘柄なら集中的に分析することもできるが、毎日違うデータを見ながら予測した場合、見落としがでてきて、どうしても精度に欠けることは、本物の投資家なら誰でも見抜けることだ。

本人もこれを分かっている。

ではなぜ、それでも株価予測をし続けるのだろうか?

それは、予測したレポートや動画の視聴率でお金を稼ぐことがメインだからにほかならない。

本物の投資家なら、銘柄を絞って集中的に調査するので、違う銘柄の情報を毎日更新することなんてできるわけがないのです。

上がるか下がるか2分の1なのになぜ当たらない?

ランダムウォーク理論の説明でよく使われるのだが、優秀な人間が集まって相場予測した時より、猿にダーツを投げさせて買うか売るか決めた方が成績が良かったというデータがある。

このランダムウォーク理論では、株価が上がるか下がるかは2分の1ということが証明されている。

ところが、証券アナリスト・投資系YouTuberの予想は2分の1を遥かに下回り、慣れの果ては”逆神”という戒名がつくことも珍しくないことは周知の事実(AIだろうがリアルタイム株価予測だろうが当たらない理由の本質は同じこと)。

なぜ、そうなるのか?

1つは、彼らが扱っているデータが現時点のものであり、そのデータは先の未来ですぐに書き換えられる可能性があること。

相場は、天気予報のように物理的な状況から当てられるものではなく、習慣化した人の行動のように単純ではありません。

投資参加者が正しいデータを見て正しく行動するとは限らないし、そもそも彼らが使う高級なデータを見ていない可能性もあります。

つまり、現時点のデータなんてあてにならないし、あてにならないデータを見て正しく行動している人もいない人も、見てない人もいるわけで、もうカオス状態なわけですよ。

カオス状態を正しく見ようとしても無駄なんですね。

最終的には、天井圏のもみ合いで株価が上がったら上がると予測し、下がったら下がると予測してすべてはずすことになる。

チャート分析している人なら、ただのボックスだから上限と下限で往来するなと簡単に判断できるのだが。

だから、なにも考えてない猿にダーツを投げさせて投資する手法(シンプルで一貫性がある)の方が当たる確率が高かったわけです。

それでも努力したくない投資家(楽して儲けたい投資家)から宗教のような需要があるので、彼らは今日も予測し続けるのです。

株価が予測できないならどうやって投資するの?

そもそも投資するということは、相手の将来を期待してお金を託し、期待通りになったらリターンをもらう行動です。

株式投資なら、成長期待のある発展途上の企業にお金を託し、成長したらリターンをもらうことになります。

つまり、企業価値に投資するのであり、本来、雇用統計や金融政策、企業のビジネスモデルと関係ない事件なんてものは考慮すべきではないのです。

しかし、証券アナリストや投資系YouTuberは、そういった高級なデータをせっせと集めて信者を納得させることに奔走します。

難しくて珍しいデータ分析をした方が聖杯を探し続けている信者からのウケがいいですからね。

また、出世払いに期限をつけることはできないので、株価が予測できない以上、無期限の長期投資が正解ということになるんですね。

ただし、これは短中期投資を否定するものではありません。

株価が予測できないから、プラスサムゲームになる長期投資がおすすめなんてことは、株式投資の実践家でないライターでも書けること。

そして、短中期投資はギャンブルと言い放って終わることでしょう。

しかし実践家なら、もう少し直接的で現実的な答えを書くことができます。

思考停止なライターは短中期投資をギャンブルと切り捨てる

株価は、長期的には企業の成長と相関するのだから長期投資がおすすめという理論は分かる。

そして、目先で上がるか下がるか分からないのだから短中期投資はギャンブルであると言いたい気持ちも分かる。

しかし、これではあまりにも思考停止で実践的ではない。

理由は、短中期で予測する”あてもの投資”しか知らないし、そのやり方が常識だと思い込んでいることだ。

世の中の短中期投資家の9割以上が、一貫性がない材料や目先の業績を予測して買う”あてもの投資家”だから仕方がないのだが。

しかし、昔からの本物の相場師は、上がる下がるを予測するのではなく、値動きを研究して何パターンものシナリオを立て買いと売りのポジション操作をしながら利益を上げる方法をとっている。

株価を予測すれば2分の1も当たらないが、相場技法を使えば5割以上の勝率は可能だ。

予測と勝率は全く別の話になるからである。

例えば、明日上がると思って買った、下がったので売った場合と上がるか上がらないかは分からないが試しに少し買った、次の日下がったが売り圧力が弱く見えたのでもう少し買い足してみた、そしたら次の日に上がったので利益確定した。

同じ日に買って次の日の予測は外れたのに、勝率には違いが出たが相場技法を使えば可能です。

相場技法を用いることは、同じギャンブルでもお客側になるのか運営側になるかの大きな違いがあります。

運営側になれば、それはビジネスということになる。

ここでは主旨がずれるので詳しく解説しませんが、私は、そういったやり方を研究して実践しているので興味がある方は下記の記事もご参考いただければと思います。