株の投資スタイル

私は、長年株式投資をしてきて、自分にあった投資スタイルを貫くことが安定した利益を出し続ける秘訣だと気づきました。なぜなら、同じ利益を出すやり方でも精神的にキツイのと安定しているのでは、長期的に成績の差が出るからです。また、精神的にきつく感じるかどうかは人によって違います。

そこで、私が自分の投資スタイルを習得する過程で得た知識を元に、株の投資スタイルについてメリット・デメリットを踏まえながら種類をまとめてみました。自分に合いそうな投資スタイルを探している人に参考にしていただければと嬉しいです。

投資スタイルを知る前に知っておくこと

株の投資スタイルは、投資家の性格・個々の学習過程・実践を通して得られた経験によって千差万別になり、すべてを分別することは不可能です。ただ、投資以外にも言えることですが、学習初期は成功者のやり方を真似することから始めるのが早く上達する近道です。

ところが、その成功者が書籍を書いたり講演を開くにせよ、すべてを事細かに教えることはしません。これは、彼らが意地悪なのではなく、株式投資というものは、状況が刻一刻と変化するなか判断しなければならないので、逐一アドバイスすることができないからです。これは、仮にスポーツに例えても同じではないでしょうか?

だから、成功者の書籍では、成功者が判断している基本的な判断材料を伝えていることが多いんですね。私も及ばずながらnoteで執筆しているので実感しています。

成功する投資家は、そういった基本的な判断材料を自分で実際に検証したり試すことで、自分なりの投資方法を確立するわけです。実際、私もそのような道のりを辿ってきました。

よって、一般的に投資スタイルと言われるものは、株式投資の初心者が投資判断の手掛かりにする、はじめの一歩的な位置にあると思います。だから、人から学んだ投資スタイルは、自分のものになるまで検証と実践を繰り返さなければならないのです。

投資スタイルを決める3つ要件

今までの話で、初心者は成功者たちが残したやり方を参考にして株式投資を始めることは分かりました。では、成功者たちの投資スタイルは、何を基準に分けられているのでしょうか?

考えてみると、投資スタイルを分ける基準は、「投資の期間・銘柄の選び方・売買の基準」に分けることができると分かりました。

投資期間とは、株を買ってから売るまでの保有期間のこと。将来の値動きを当てることはできませんので、あらかじめ何ヶ月保有するか確実な期間を決めることはできません。ただ、1日、数週間、数か月、数年とざっくりとした期間で分けることは可能です。

銘柄の選び方とは、どの会社に投資するかの判断です。例えば、長期的な投資なら企業価値や成長予測に基づいて投資することができるし、短期的な投資なら、企業価値とは関係なく値動きを見て判断することができます。

売買基準とは、投資する会社を決めたら、どのタイミングで買い、どのタイミングで売るかという具体的な判断のことです。

今から紹介する投資スタイルは、この3つの要件の違いで投資方法がガラリと変わります。なぜなら、3つの要件が変わると投資的に優位になる条件が変わるからです。

また、投資方法は、値動きで判断するトレードスタイルと企業価値で判断する投資スタイルに分けることができます。便宜上、2つを分類して説明しますが、投資のやり方は自由なので両者を混ぜた方法もあり、こうじゃなければならないといった固定観念に縛られないようにしてくださいね。

トレード

トレードとは、値動きにフォーカスして利幅を得る投資スタイルです。企業価値を分析する投資方法と比べると短期間の取引になることが多いのが特徴ですよ。トレードは、投資期間ごとにスキャルピング、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードに分類されています。

スキャルピング・デイトレード

デイトレードとは、1日の営業時間内で取引を完結する投機方法。スキャルピングは、デイトレードの中でも短い時間、例えば数分から1時間以内に取引を完了するやり方のことを指します。

取引は、チャートや板を見て他のトレーダーの動きを推測しながら優位性が高い方へエントリーするやり方が多いです。どちらも日中パソコンに張り付いてないとできない手法なので、平日休みの人か自由な時間を作れる人向けですね

デイトレやスキャルピングは、瞬間的に正しい判断をしていかなければならず、やり方が身に染みるまで訓練する必要があります。また、チャートや板といったテクニカル指標が重視の取引となり、損切りなどマイルールを徹底して実行できるメンタルが必要なんですね。

その分、短期間で利益を得ることが可能ですし、日をまたぐことによる経済・地政学リスク・材料の影響を受けにくいメリットがありますよ。

取引しやすい銘柄は、値動きが大きい銘柄が良いのですが、毎日決まった銘柄が大きく動くとは限りません。だから、投資家の人気が集中する出来高ランキングから大きく動きそうな銘柄を抽出して選ぶ人が多いようです。

また、スキャルピングやデイトレードがやりたいならFXもおすすめ。こちらは、メジャー通貨なら世界の人が参加するので取引する人の数が格段に多いし、レバレッジも手数料なしでかけることができるからです。

私は、デイトレをやる時間はありますが、将来、自由な時間をつくるために投資をはじめたので株のデイトレを選びませんでした。ただ、FXの場合は、1時間足をベースにトレードするなら、値動きだけで売買判断ができるし、そこまでパソコンに張り付いてなくてもできるのでやっています。

スイングトレード

スイングトレードは、2日から1週間、長くても1ヵ月ほどを目安に取引する投資スタイルです。期間は目安なので、市場が開く前に注文をいれて、長大陽線が出た場合は、市場が閉まる前に利益確定することもあります。

スイングトレードは、日を跨いでポジションを保有するので、1日中パソコンに張り付いている必要はありません。ただ、日を跨いでポジションを持つことから株価に影響を及ぼすニュースがあればテクニカルに関係なく、思った方向と逆に動いてしまうデメリットがあります。そして、逆に行ったと思えば、また元の方向へ戻るといった不可解な動きをすることも少なくありません。

だから、こういう動きがあることを想定したルール作りをする必要があるんですね。

私の場合、スイングトレードとポジショントレードをしっかり分けて投資しているわけではありませんが、保有期間で分類するとスイングトレードになることもあります。しかし、値動きを予測だけに頼って投資するやり方をしていません。値動きに合わせてポジションを作るリズム取りという方法をとっているので不可解な動きに惑わされることはありません。

過去の私は、スイングトレードの書籍やセミナー講師などに影響されて、テクニカル指標を見てシグナルが点灯したらエントリーするという馬鹿馬鹿しい方法をとっていました。ところが株価は、1日おきに出てくる外部の動きにも影響を受けますので、失敗しても、本当の意味で何が悪いか分からず日常生活や自分の仕事にも影響を及ぼしていました。

スイングトレードは、売買時間は1日数分で済むので魅力的ですが、やり方に気を付けないと、とても苦しい思いをしてしまいます。

ポジショントレード

ポジショントレードは、数か月をベースに利益を狙う投資スタイルです。値動きは、短期的な上げ下げより中長期的な上げ下げの方が安定するので難易度が下がります。ところが、利益が得られるまで時間がかかるので人によってはデメリットに感じるかもしれません。

中長期的な値動きは、チャートだけを見ても予測することはできません。だから、企業業績や成長性を考慮したファンダメンタル分析を混ぜる人もいるし、値動きだけで投資判断するなら、ツナギ売買といって値下がりリスクに応じてポジションを取る手法を使う人もいます。

私の場合は、値動きを見て取引するうねり取りというやり方とファンダメンタル分析を合わせて投資することが多いです。

割安株投資法(バリュー投資)

株価は、投資家による評価によって決定されます。だから、企業価値が低くても将来高くなると予想する人が多ければ現在の企業の実力以上に評価された株価になることもあります。

一方、投資家心理の悪化で、企業の実力どころか企業価値以下まで売り込まれることも多々あります。バリュー投資は、企業価値を判断して、それよりも株価が低く評価されている場合に、その企業の株を買います。そして、株価が企業価値まで戻ったら売って利益を得るのです。

バリュー投資の肝は、どのように企業価値を判断するかです。一般的には、PER・PBRなどのファンダメンタルズ指標を利用して判断しますが、判断の仕方は個々の投資家によって変わるのではないかと思います。

私の場合は、それらの指標に加えて、ビジネスモデルや現在企業が置かれている環境を考えて、投資家心理の悪化によって売り込まれている場合に選定銘柄の候補にすることが多いです。

バリュー投資は、世界的に有名なウォーレン・バフェットの師であるベンジャミン・グレアムが考案したやり方です。バリュー株投資法は、何かあるとすぐに売られてしまう今の日本株に特に有効な方法の一つだと思います。日本の成功者でも彼のやり方を元に自分で投資方法を改善して成功した投資家も多いと聞いています。特に、彼の著書『賢明なる投資家』は、バリュー投資を目指すものにとって一読する価値がある本でした。

成長株投資法(グロース投資)

グロース投資は、企業の成長性に投資する方法です。事業の成長サイクルは、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つで形成されますが、グロース投資は、成長期の初期に株を買うことで大きな利益を得る方法です。

グロース投資には、新しく生まれた事業が大きく伸びる可能性がある小型株成長投資とすでに大きなブランド力を持っていて、何十年も成長し続ける可能性がある企業に投資する割安成長株投資があります。

小型株成長投資

これから成長する可能性を持つ事業がマーケットで評価されれば、株価が上昇することに異存はないと思います。ところが、マーケットで取引される資金には限界があります。だから、小さい時価総額が膨れ上がるのと、すでに大きな時価総額が膨れ上がるのでは、小さい時価総額が膨れ上がる方がハードルが低いことになります。

例えば、時価総額100億円の企業の成長性が認められて1000億円になるのは珍しいことではありませんが、時価総額1兆円の企業が10兆円になることは、グローバル展開してよほどの偉業を遂げなければなりません。このように、小型株の成長のしやすさ、株価の上がりやすさに目を付けたのが小型株成長投資です。

小型株成長投資は、基本的には、まだ市場で評価されていない将来成長が期待できる企業へ投資をすることです。日本の上場企業は、2021年8月2日時点で3,786社ありますので、機関投資家やヘッジファンドもすべての会社を網羅することはできないのでチャンスがあるのです。

もちろん、小型株なので大型株と比較すれば、倒産のリスクが低くはありません。

小型株成長投資のやり方は色々あるのですが、私が読んだ本の中ではV-com2さんという方の『最強のファンダメンタル投資法』という書籍が非常に参考になりました。

V-com2さんの大まかな考え方は、東証2部や新興市場から東証1部へ上場するときは、大きな買いが入る可能性が高いし、株主優待の条件を良くしようとする企業は、個人投資家から人気が集まります。また、こういった企業は株価を上げることに力を入れていることが分かります。このように、企業の成長性に加えて、株価に影響を及ぼす材料(カタリスト)が出るような企業に投資して、将来の大きな株価の上昇を狙うやり方で億の資産を稼いだようです。

他にも、企業の収益性とチャートを過去の成長株の動きを照らし合わせて、成長株を見つける方法があります。あまりに有名な書籍に『ミネルヴィニの成長株投資法』と『オニールの成長株発掘法』があります。

割安成長株投資

割安成長株投資は、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットが得意な投資スタイルです。

彼は、事業が成功しやすいビジネスモデルの中から、「〇〇と言えば、この会社!」というぐらい圧倒的なブランド力を持つ会社がかなり割安な時に買って、条件が崩れない限り何十年も保有する方法で投資しています。

長年成長するビジネスモデルと企業とは、経費が掛からないこと、無能が経営者に代わっても大丈夫なことなどがあげられます。彼は、これらを分析するために最低でも過去10年の決算資料を読み漁るそうです。

しかし、こういった銘柄は、現在の日本株には中々見つからず、安定的に経済成長している米国株に多いのが実情です。ただ、近年ではウォーレン・バフェットが日本の5大商事の株を保有し始めたことから、米国株が割高になってきていることが分かるので注意する必要はあります。

メリットは、安定して利益が得られるし、一度買った株は、自分が選定した投資価値がなくなるまで、ほぼほったらかしなので運用が楽な点です。デメリットは、そういった一生持ち続けても良い会社がそうそうないことです。

ウォーレン・バフェット自体、年々投資家として成長されていると言われているので、彼の著書も彼の投資の基本的なやり方が書いてあるに過ぎません。そのやり方を検証・実践して経験を積むと、割安成長株投資家として成功に近づくと思います。

バフェットの著書は、明確で分かりやすかったですが、時間がかかるので多くの人が真似しようとしません。バフェットの投資の考え方を知るには、『バフェットの教訓』という本が分かりやすかったです。そして、具体的な企業分析の仕方は、『バフェットの財務諸表を読む力』という本が役に立ちました。数字だけでなく企業の実態を正確に把握して投資する方法は、私の投資の考え方に影響を与えてくれました。

最後に

ここまで紹介してきた投資方法は、あくまで大きな分類に過ぎません。それぞれ良いところを掛け合わせ、自分の環境や地合いに合わせて自分なりの投資方法を身につけることが成功への近道ですよ。