投資をするときの損益計算書の読み方

あなたは、株式投資で投資先の企業を探すとき、判断材料の一つにする損益計算書の読み方が分からず、何を見て投資判断すればいいのか悩んでいませんか?

そんな悩みを解決するため、株式投資の実践家である私が損益計算書の基本的な読み方から長期保有に適した優良企業を判別するために重視しているポイントを初心者でも分かりやすいように解説しました。

記事の内容は、私が長期投資するとき実際に判断している内容を元に書きましたので、内容をあなたとシェアできれば幸いです。

損益計算書の概要を把握しよう

損益計算書は、企業が1年間でどのようにどれくらい収益を上げたのかを示す決算書です。

通常、決算短信で四半期ごとに進捗状況を把握することができます。

下図は、私が実際に投資している企業の一つである三菱商事の2021年3月期 第2四半期決算短信書の損益決算書です。

損益計算書

これを見ると細かい項目が沢山あるので、まずは頭の中をクリアにするため売上高・経費・利益の3つから構成されていると覚えましょう。

損益計算書の構成

企業活動をシンプルにすると、モノを作ってそれを売ってお金を稼ぐことです。

モノを売って稼いだお金が売上高、モノを作るときや売るときに必要な材料費や人件費、広告宣伝費などが経費にあたるわけですね。

そして、売上高から経費を引いたものが純粋な儲けであり利益になります。

損益計算書は、1期分だけ見ても長期投資に適した企業だと判断することはできませんが、過去10年分を比較することで優良企業を探す貴重な手がかかりを与えてくれますよ。

各項目の意味と投資判断の仕方

損益計算書から長期投資に適した優良企業を探すには、各項目の一つ一つから判断する必要があります。

具体的には、本業で利益を出しているか?利益はどのくらいか?競争のためどのくらい研究開発費が必要か?などです。

これらを分析することで企業のビジネスの優位性を理解しようとするのです。

では、ここからは損益計算書の項目を一つ一つ吟味してどのように投資判断すればいいのか解説していきますね。

売上高(総収益)

売上高は、企業が商品やサービスを売って得られた総収入を示します。

売上高からは、必要経費を引いて利益を出さなければ何も判断できませんが、売上高が大きいからと言って利益を上げているとは限らないことに注意することが大事です。

売上原価(元手)

売上原価とは、商品の仕入れや製造コスト(原材料や人件費)のことです。

売上原価から分かることは、売上高に対して比率が低いほど良いビジネスモデルと言えます。

なぜなら、少ない元手で大きな利益を得ることができるからです。

投資判断をするときは、企業のビジネスや経営を理解するため、その企業が何を売上原価にしているか正確に把握することが大事ですよ。

売上総利益(粗利益)

売上総利益とは、売上高から売上原価を引いたものです。

原材料や労働力のコストを引いたものであり、販売や管理のコスト、減価償却は引かれていません。

ビジネスの現場では粗利と呼ばれるものです。

売上総利益からは、長期投資に適したビジネスモデルかどうかを判断できます。

例えば、売上総利益から売上高を割った粗利益率を計算することにより、その数字を他のビジネスモデルと比較することができるんですね。

粗利益率が高いほど、少ない原資で利益を出すことができる優良なビジネスモデルの可能性が高いと判断することができるのです。

なぜなら、粗利益率が高いビジネスモデルの方が利益を圧迫するような価格競争に陥る可能性が少なくなるからです。

資産としての投資を考えているなら粗利益率の目安は40%以上ですよ。

これは、1期分で判断するのではなく、過去の損益計算書を追跡してブレがないか確認するようにしましょう。

販売費・一般管理費(普通の経費)

営業や販売活動に関するあらゆる経費が販売費・一般管理費に入ります。

事業活動に必要な経費のほうが分かりやすいかもしれません。

経費が多ければ、当然ながら利益を圧迫しますので販売費・一般管理費は低いほうがいいです。

基本的に、この経費は粗利の30%以下が好ましいのですが、ビジネスモデルによってはそれ以上でも優良企業である場合もあります。

しかし、どんな困難なときでも80%を超えるような企業は、経営者の怠慢か過当競争に陥っている可能性があるので避けるべきです。

販売費・一般管理費の中には、研究開発費が含まれていますが、これが高いビジネスモデルは競争するのに常に大きな資金が必要なので長期投資に向いていないことを理解しておきましょう。

研究開発費は、決算書の中の損益計算書と別枠で記載されていることが多いです。

もう一つなじみのないものに減価償却費があります。

建物や生産設備は、毎年消耗されるものであり、購入したらすぐに消費済みになるものではありません。

それらを購入したら一旦、固定資産に計上しておいて、年ごとに少しずつ購入した金額の一部を経費として計上するようにする決まりがあります。

ところが金融上のテクニックには、EBITDA(イービットディーエー)という減価償却費を抜いて計算する指標があります。

EBITDAは、実際より利益が大きく見えて企業が成長しているかのように錯覚しますが、減価償却が終わり建物や生産設備を買い換える必要に迫ったとき、結局元に戻るので資産として保有する長期投資には向いてない指標になります。

減価償却費は、少ない方がビジネスモデルとして優秀なことを意味します。

なぜなら、常に新しい設備に買い換えなければ競争に勝てないビジネスモデルは、恒常的に利益を圧迫するからです。

営業外費用(特殊な経費)

営業外費用とは、支払利息など販売費・一般管理費の項目にはあてはまらない会社の費用が計上されています。

事業活動にかかるコストとは別だから分かりやすいように別にしてあるのだと思います。

営業外費用は、手形売却損や売上割引などがありますが、注意して見る必要があるのは支払利息です。

会社の債務が多いほど支払利息は大きくなり利益を圧迫します。

生産設備を頻繁に更新する必要があったり原価取得費用にお金がかかる企業やビジネスモデルは、債務が大きくなりがちで疲弊します。

できるだけ支払利息が少ない方がいいのですが、どれだけが多いのか、または少ないかは業界によって変わってきますので多くの決算書を読んで場数を踏む必要がありますよ。

特別利益/特別損失(事業以外の損益)

特別利益/特別損失とは、棚卸資産(在庫など商品のこと)以外の売却で利益を得たり損失を被ったときに計上するものです。

例えば、固定資産の売却や災害時の損失がこれにあたります。

結論から言うと、一時的に収入が増えたり減ったりしても恒常的な収益には影響しないから、これらは資産株購入の投資判断から外していいです。

具体的には、純利益から特別利益と損失を引いて判断するようにします。

税引前純利益(税金を払う前の利益)

税引前純利益とは、売上高から税金以外のすべての経費を引いた数字です。

会社が非課税債権などを保有していて、その利益がある場合があるので投資対象の比較には税引前純利益を使うと条件を同じにして判断することができますよ。

法人税等(支払った税金)

有価証券報告書に記載されている税金の額を計算すれば、決算短信で発表される利益に偽りがないか判断することができます。

基本的にはないと思いますが、念の為チェックしておくといいですよ。

純利益(会社に残るお金)

売上高から税金も含めたすべての経費を引いた後、残ったお金が純利益です。

これが企業の儲けになり、このお金を配当や自社株買いをしたり、次のビジネスに回す原資とします。

長期保有に適した企業の株を見つけるには、純利益が長期的に右肩上がりの傾向があるかということと大きな浮き沈みがないかを確認することが重要です。

また、多くの場合1株あたりの純利益(EPS)が重視されますが自社株買いを行った場合、発行済株式総数が減ることになるので、純利益と傾向が変わることがあることに注意しなければなりません。

純利益とEPSの両方とも大事ですが、どちらか一方だけを確認するだけでは足らないということですね。

長期的保有に適している優良企業なら売上高に占める純利益の割合が高い傾向にあります(長期的に20%以上の企業が好ましい)ので一つの参考にしてみてください。

また、純利益を発行済株式総数で割れば1株あたりの利益(EPS)がでます。

EPSが高くなればなるほど株価が上がる傾向があるので、純利益同様重視してくださいね。

EPSも純利益と同様、長期的に(過去10年ほどを確認)上昇傾向にあるかどうか判断します。

資産運用に悩んでる人・将来の不安がある人へ

はじめに厳しいことを言って恐縮ですが、資産運用したいけど何から始めればいいか分からなかったり、なんとなく将来への不安がある人は、資産運用・資産形成術などお金全般に関する知識と行動力が足りていないと言わざるを得ません。

ただ、お金に関する正しい知識を得るには、正しい情報を取得しなければいけませんが、今の情報社会では、どの情報が正しいのかを取捨選択することも難しいものです。

書店に並ぶ本は、確かにネットと比べて情報が整合されていいて、良い情報が多いです。

しかし、本は売らなければならないので、どうしても大衆迎合した内容になってしまいがちで、本当のところを具体的に解説してくれるものは皆無といっていいでしょう。

私もお金に関するセミナーに参加したり、数えきれないほどの書籍を買い漁りましたが、結局、多くの人が語ることの共通点を見いだし、自分で考えるしかないのです。

ところが、マーク・フォードという人が書いた大富豪の投資術という本は、お金の本質を書いている数少ない本の一つでした。

彼は、私たちと同じで親が金持ちでもなく平均以下の収入しかありませんでした。

そんな彼が大金持ちにアンケートをとり、ゼロからどのように資産を築いたのか?また、投資と聞くと金融商品を思い浮かべると思うのですが、私たちが人生を生きる上で必ず通る、すべてのお金に関する形成方法から防衛術まで事細かに解説されていたのです。

もし、あなたが今の生活を抜け出す一手を探しているのなら彼の書籍を読むことから始めるといいと思います。

おすすめ大富豪の投資術(現在5,000円⇒無料)