株の利益確定のタイミングを解説

「株の利益確定について、ネットで調べてみたけどプラスになったら利益確定にすればいいとか非実践家が利小損大をすすめるような馬鹿げた情報しかでてこなかった(怒)」

この記事は、このような悩みを抱えている個人投資家向けに書いたものです。

記事を読むことで株の利益確定についての考え方と実践的なやり方のヒントを得ることができます。

内容は、実際に短期トレードと中長期投資をしている私が使っている方法の根幹となる情報をまとめたものなので参考にしていただければ幸いです

利益確定が難しい理由

仕掛けについては、企業のデータとチャートを使うことにより、ある程度有利な位置でエントリーできますが、利益確定についてはそうはいきません。

なぜなら、参加している投資家とこれから参加してくる投資家、参加するかどうか迷っている投資家の欲望と悲観を計算できないからです。

そう、トレンドはいつまで続くのか本当に誰にも分からないのです。

恐らく多くの人が、利益確定の法則がないか?と思うことでしょう。

しかし、利益確定の法則なんてものはないのです。

なぜなら、上昇でも下降でも同じリズムで動いていないからです。

法則があれば、本当に楽だと思いますが、恐らく、その法則の裏をかくものが現れて、すぐに崩れていくことでしょう。

まずは、利益確定の法則なんてないことをしっかりと心の奥に刻んでください。

利益確定の考え方

利益確定の法則がないならどうすればいいの?

そう思うかもしれませんね。

そこで、まず考えるのは、できるだけ有利な位置で手仕舞うことを心掛けるのです。

有利な位置とは、値幅が伸びたところです。

「なんだ、そんなことか、、」と思うかもしれませんが、これは機関投資家やヘッジファンド、大口投資家も考えている重要な考えです。

彼らは、できるだけ安く買って、できるだけ高くるための戦略を絶えず考えているんですね。

一方、ズブの素人は値幅が伸びたところで買いを入れて高値掴みしてしまうのです。

ポイント

「できるだけ安く買って、できるだけ高く売る」

言うは易く行うは難しですが、これはどのようにすればいいのか?

株の値動きは、フラクタル構造になっていることはご存知でしょうか?

日足以外の週足、日中足、月足にしても同じ特徴を持って動いています。

これに合わせて、スキャルパー、デイトレーダー、スイングトレーダー、中期投資家、長期投資が存在します。

そして、彼らは、それぞれの時間軸によって取引するのですが、その時間軸内でエントリーから決済をするわけです。

何が言いたいかというと、まずは、自分がどの時間内でどの波動を狙うかが重要というわけです。

どの波動を狙うか決めていないのに、行き当たりばったりに利益確定すると、継続的に利益を得ることができません。

例えば、短期のスイングトレードで小波を狙っているのに、大波が狙えそうだからといって狙いを変更してはいけないのです。

また、長期投資で大きな波動を狙っているのに、日々の上げ下げに目を囚われて、少し上がったら決済なんてことはあってはいけません。

利用するテクニカル指標

利用するテクニカル指標は、下記の5つです。

  1. トレンドライン
  2. 移動平均線
  3. 水平線
  4. ローソク足
  5. 出来高

とくに目新しく特別なものはありませんが、これらの使い方をしっかりとマスターして組み合わせて使うことにより、有利な位置で利益確定することができるようになります。

この中で、出来高はローソク足の補助として、水平線は移動平均線の補助として利用します。

また、上げを前提に話しますが、下降はこの逆だと考えていただければと思います。

トレンドラインを使った利確方法

トレンドラインを使った利益確定の基本は、株価がトレンドラインを割ったときです。

トレンドラインを使った短期売買の利益確定場面

なんだ、そんなことか、、って思った人は浅はかですよ。

トレンドライン一つとっても奥が深いのです。

例えば、上のチャートで、もっと伸びるのではないか?と思った人なら下記のようにトレンドラインを引くかもしれません。

トレンドラインを使った中期投資の利益確定場面

スイングトレードなら青線で利益確定して、中期投資なら赤線まで粘って、さらなる上昇を狙うこともできます。

ただし、急角度で上昇した場合は、上図のように急激に落ちる場合もあるので、その辺を考えて利益を最大化しなければなりません。

波形が急上昇の場合は、青線で利確し、下図のように緩やかな場合は粘るという戦法もとれます。

ただし、トレンドの角度が急になってきたら、トレンドラインを引き直して利益を最大化することがおすすめです。

もちろん、オレンジや赤まで粘ってもいいのですが、上図の利益確定の場面で、すでに5ヶ月経過しているので、いつでも長い下降トレンドに移行する可能性があります。

最後の尻尾部分は、マーケットが強欲になっている場面なので、とれませんが、格言通り尻尾はくれてやればいいのです。

強欲になって、オレンジや赤まで粘るとどうなるでしょうか?

トレンドラインを使った長期の利益確定場面

長く持ちすぎても、あまりいいことはありませんね。

このチャートは、日足ですが値動きはフラクタル構造になっていますので、日中足や週足、月足にも応用することができますよ。

移動平均線を使った利確方法

移動平均線は、現在のトレンドを確認することができるテクニカル指標ですが、期間中の市場参加者の平均合意価格(標準価格)と考えることもできます。

株価が恒常的に移動平均線を上回っていれば上昇トレンドであり、下回っていれば下降トレンドというわけですね。

そして、上昇トレンドでは平均価格が標準価格とみなされるのか、移動平均線に近づくと反発して上昇する特徴があります(下降は逆)。

しかし、株価が移動平均線を下に割れ始めると、買いの力は弱まり、トレンド転換する可能性が出てきます。

基本的に、トレンドというものは、急に方向転換することはありませんが、たまに急転換します。

また、買いの力が弱まると時間をかけても、大した上昇値幅を得られなくなる可能性があります。

そこで上昇トレンドでは、移動平均線を割ったポイントを利益確定の位置にすることができます(下降トレンドは逆)。

利益確定に使う移動平均線は、5,25,75日であり、自分のトレードスタイルや投資期間に合わせて選ぶといいでしょう。

移動平均線を使った利益確定の例

移動平均線の利確方法は、きれいなトレンドが出現した場合は、長くポジションが持てるメリットがありますが、振幅が大きい波だと、利幅を稼げず利益確定、あるいは損切りになるデメリットがあります。

よって、トレンドのボラティリティやモメンタム、日柄を見ながら利確する日数(移動平均線の期間)を変えたり、他の指標と合わせて判断する必要があるのです。

こういうのがプロでも利益確定が難しいという理由の一つなんですね。

水平線を補助に使う

私が初心者におすすめする利益確定の位置は、25日移動平均線割れなのですが、水平線を同時に使うことで値幅を伸ばせる場合があります。

水平線を移動平均線の補助に使って値幅を伸ばした利益確定の例

このやり方は、保有株が上昇してきて、75と200日移動平均を超えて値幅が期待できるパーフェクトオーダーの環境になったときは特に使えますよ。

ローソク足と出来高を補助に使う

ローソク足は、最小単位の波動を表すものなので、基本的には相場全体の流れに与える影響は少ないです。

しかし、相場の始まりは必ず最小単位から始まることから、その挙動を見過ごすわけにはいきません。

ただし、ローソク足だけの判断では、上昇途中でも似たような形が何度も出てくるので上手くいきません。

そこで、出来高を同時に利用するのです。

ローソク足と出来高の関係は下記の記事でもまとめていますが、簡単に言うと大きな実体は大きな出来高を伴っていなければならず、反対に、小さな実体は小さな出来高でなければなりません。

株のローソク足と出来高の見方【市場参加者の動きを可視化】

これに反する動きをしたときは、市場で大きな動きが出ていると読むことができます。

これを上昇トレンドの最後の方で注意深く見ることによって、25日移動平均線割れやトレンドライン割れより早く、もしくは同時に確信的に利益確定をすることができるのです。

ローソク足と出来高を使って利益確定する時のチャートの見方

上のチャートは、ローソク足と出来高を見ながら利益確定のタイミングを計っている1つの例です。

①の25日線割れからの上昇は、出来高を伴った正当な上昇だと判断できます。

懸念は、25日線を一度割ったことと上昇してきて5ヶ月経過してきたことくらいでしょう。

この上昇の終わりは、実体の大きい上髭陰線と大陰線で下げを見せました。

出来高を確認すると、上昇の最後より減少しているので、懸念は今までと比べて強い逆行線が出たことくらいです。

案の定3日目からは、反発してきました(②)。

しかし、次の上昇の最後は新高値更新とともに大陰線を付けました。

出来高もそこそこ多いのでこれは注意です。

ここで一部利益確定してもいいでしょう。

その後、出来高が伴わず、小陰線で横ばいが続き下降しました。

これは、新たな買いが入らなくなってきたことを意味します。

その後、25日線まで株価が下がると、また大きく反発しました(③)。

この③のローソク足と出来高は、最も重要です。

まず、実体が小さいのに出来高が急増していること。

そして、前回の高値まで上昇した後、日中だけで大きく下げていることです。

これは、最後の強欲な買い手が入ってきたことと、含み益を抱えていた人たちの利益確定が大量に出たと見ていいのです。

ここですべてのポジションを手仕舞うことができれば最高です。

その後、保ち合いのような形で④の地点に到着しますが、これは最後の逃げ場です。

首吊り線が出た後、三羽烏のような形で下げますが、下げる度に出来高が増えていることに注目しましょう。

これは、市場のコンセンサスが下げに傾きだしたことを意味するのです。

ここでは、25日線も割ってるので、さらに強固なシグナルになるんですね。

このように、ローソク足と出来高をストーリーを立てながら見ていくと、移動平均線やトレンドラインより早く有利な位置で利益確定することができます。

ただし、経験を積まないと、見誤って早く利益確定することにもなりますので、その辺を考慮してくださいね。

すべてを合わせて裁量的に利益確定する

トレンドというものは、いつも一定のリズムを刻んでいるわけではありません。

突発的なニュースにより、押すこともあれば、急激に上昇したり、ジグザグに下げて見せたりすることもあります。

このような理由から、この方法一つとれば利益を最大化できるなんてものはないのです。

今回、紹介したテクニカルな方法を組み合わせて裁量的に判断していくことによって、あなただけのやり方が身に付くわけですね。