株の値動きの仕組みを解説

株式投資を始めたばかりの時は、株価が上下する仕組みが分からず、値動きがランダムに見えます。

かつての私もそうでした。


値動きの仕組みが理解できれば、下記のような投資戦略が立てられます。

  • 複数の値動きのシナリオを立てる
  • どこで買ったり売ったりするか?
  • 今は買いが有利か?それとも売りが有利か?

実は、複雑に見える値動きも大きく3つに分けることができます。

  • 上昇
  • 下降
  • もみ合い

シンプルですね。

世の中には、値動きに関する様々な投資情報が出回っていますが、実際の売買でほとんど役に立ちません。

その理由は、情報の内容が間接的であり、どちらにも捉えられるものばかりだからです。


投資には、絶対上がるとか絶対下がるということはないので、上がるか下がるか両方のシナリオを立てなければなりません。

上下のシナリオを立てるなら、間接的な情報を使って判断するより、直接的な情報を見て判断した方が有利です。

直接的な情報とは、値動きそのものであり、値動きが上下する直接的な理由、仕組み、特徴のことです。


本文は、株の評論家を目指すのではなく、実践家を目指す読者に実務で役立つ値動きの仕組みを解説していきます。

是非、最後までお付き合いください。

株価が上下する直接的な理由

株価が上下する理由は、買う人と売る人の需要と供給のバランスが崩れるからです。

株価は、買う人が多ければ上がり、売る人が多ければ下がります。これは、商品に値段がつく過程と似ています。

例えば、商品の価値と生産数が同じでも、買う人が多くなれば高くても買いたいという人が現れて値段が上がります。

一方、商品の価値や生産数が同じでも、買う人が減れば値段を下げないと売れません。

株の場合、商品の価値は企業の価値であり、生産数とは市場に流通している株の数にあたります。

今度は、株価で例を挙げましょう。

下図の価格で取引されてる銘柄があるとします。

株の売買状況を表す板情報

上図から、株を501円で1000株売りたいBさんと500円で1000株買いたいAさんがいることが分かります。

このままでは、売買が成立しないので価格は動きません。

ところが、Cさんが501円で1000株買いたいと注文しました。

そうすると、BさんとCさんの取引条件がマッチしたので売買が成立します。

売買成立後、501円で売りたい人がいなくなり、502円でDさんから3000株の範囲内で買うしかありません。

そうすると、BさんとCさんの取引前より株価が上がるのです。

これは、Cさんという買い手が増えたから株価が上がったことを意味します。

つまり、買いの需要が増えたから株価が上がったのです。

注意すべきは、企業価値が上がったから株価が上がったわけではないということです。

それについては、次の項目で解説していきましょう。

投資家心理に与える情報と分けて考える

景況感や経済指標、材料、ニュースは、それを元に投資判断をしている投資家の心に影響を与えます。

株価は、イベントやニュースで上下するのではなく、それを見た投資家が反応するかどうかで上下するのです。

これを理解しておけば、下記のような偏った判断をしなくなります。

  • 決算が良かったら上がるだろう
  • 経済指標が良かったから上がるだろう
  • 円高になったから下がるだろう

投資の世界には、思惑で買って事実で売れという格言があります。

業績や経済指標が良くなる期待が先行すれば、指標発表前に買いたい人が増えて株価が上がります。

指標が発表されたあと、新たに期待できる材料がなければ、利益確定する人が多くなって下がります。

また、不景気の株高という投資格言もあります。

経済情勢は悪いけど、今後の景気回復の期待から買う人が増えて株価が上がることです。

以上のことから、下記のようなことが起きるわけです。

  • 過去最大の業績なのに下落トレンド入りした
  • 経済指標が良かったのに手持ちの銘柄が上がらない
  • 円高なのに株価が上がった

それなら、投資格言に従って買えばいいと思うかもしれませんが、そんなに単純ではありません。

不景気のときや業績が良さそうだと思って買っても下がることがあるからです。


次に、株価の上下する理由を需給以外で考えることの弊害についてお話ししていきましょう。

株価の上下を需給以外で考えるデメリット

株価の上げ下げを需給以外の要因を合わせて考えると、複雑化して投資成績が下がるデメリットがあります。

株価が上がるか下がるかは、どの時点においても1/2の確率です。

これは、ランダムウォーク理論によって証明されています。

株価の値動きは、買い手と売り手の需給バランスを直接表しています。つまり、値動きを見て判断すれば上がるか下がるかの2択でいいわけです。


では、外部要因を合わせて判断するとどうなるでしょうか?

例えば、景気がこれから良くなるだろうという予測を投資判断に組み入れたとします。

投資に100%はないので、考えられる結果は下記になります。

  • 実際に良くなったので株価が上がった
  • 実際に良くなったのに株価が上がらなかった
  • 実際は悪くなったのに株価が上がった(不景気の株高)
  • 実際は悪くなったので株価も下がった

このように、間接的な判断を入れると2択で良かった判断が4択になってしまうのです。

株価が上がるか下がるかだけでなく、景気が良くなるかならないかという判断も加えたからです。


現実の投資の世界では、もっと複雑に考える人が多く、何十択、ときには何百択から上がるか下がるかの2択を判断しているのです。

評論家の判断が当たらないのは、彼らが無能だからではなく、選択肢を増やして複雑化しているからと言えるでしょう。

一方、プロの投資家は、余分な情報を最大限まで削ってシンプルな判断を元に投資しています。

だから、値動きは需給で動いていることを元に考えるべきなのです。

実際のチャートで値動きの仕組みを解説

株価が買り手と売り手の需給で上下すると知ってるだけでは役に立ちません。

株式投資で利益を出すには、需給が値動きにどのように反映されるか知る必要があります。

値動きは、上昇した後もみ合いになり下降しはじめます。

下降が終わるともみ合いになり上昇します。

このような特徴があるのは、買い手と売り手の需給で動いているからです。

もう少し分かりやすく、チャートを使って解説していきましょう。

株価が上下する仕組みをチャートで解説

上のチャートの左側のもみ合いでは、株価が447円から490円の一定の範囲を上下しています。

ここから、下記の2つのことが分かります。

  • 447円に近づくにつれて買いたい人が増えて売りたい人が減っている
  • 490円に近づくにつれて売りたい人が増えて買いたい人が減っている

つまり、447円から490円の範囲で買いと売りの需要と供給が拮抗しているのです。

このとき、企業業績や景況感の変化があったわけではありません。

たとえ変化があったとしても、株価が需要と供給で動いていることに変わりはないのです。

買いたい人と売りたい人のバランスが保たれているから、一定範囲で上がったり下がったりしてるわけですね。


では、もみ合いの次の上昇について考えてみましょう。

そこでは、株価が一方的に右肩上がりしています。

途中で、小さなもみ合いになるも、さらに上昇していることが分かりますね。

これは、売る人より買う人が多いから上昇しているのです。

途中のもみ合いでは、買う人が少し減って(小休止と言います)、売る人が少し増えたことが分かります。

ところが、この価格帯では、株価を押し下げるほど売りたい人がでてこず、さらなる買い手が現れて株価を押し上げました。

買いたい人が一気に増えた理由が何かは分かりません。

分かることは、買いたい人が増えたから上昇したということです。

株で利益を上げるには、株価が動いた理由はどうでもいいのです。

投資家一人一人に買った理由を聞くことはできないので、本当の理由は誰にも分からないからです。

このような本質が分かれば、株価が上がった理由、下がった理由を解説したマーケットニュースが後付けだということも心から理解できます。


最後に、下降の説明をします。

上昇後、少しもみ合って下降に転じています。

株価がもみ合う期間や上下の範囲は、いつも同じではありません。長いときもあれば、短いときもあります。

下降では、売りたい人が買いたい人を上回ったから株価が下がっていきます。

このとき、企業の売り上げが下がったわけではありません。

もし、企業の売り上げが下がったことが原因なら、その後、1ヶ月で下降が止まってもみ合った後、再度上昇には転じませんね。

次の決算発表まで3ヵ月はかかるからです。

上昇した後、もみ合って利益確定する人が増えたから下がったと考えた方がシンプルです。

上がった理由と同じように、下がった理由も誰にも分かりません。

なぜなら、マーケットに参加した投資家一人一人に売買した理由をヒアリングしなければならないからです。

厳密には、自分がどうして買ったり売ったのか分からない人もいるので絶対に分からないのです。

だから、株価が上下する理由は、買い手と売り手の需給の変化と言えるのです。