株式投資のチャート分析の方法

「チャート分析をすれば、将来の値動きが予測できる!」

あなたは、このような期待と希望に満ち溢れて、チャート分析の方法を調べているのではないでしょうか?

残念ながら、株式投資で利益を得る方法は、チャート分析で未来を予測することではありません。


では、チャート分析は何のために行うのでしょうか?

それは、この記事に書いてある方法で買い手と売り手の需給関係を分析するためです。

需給関係を把握することで、取引できそうなポイントを見つけるわけですね。

残念ながら、ほとんど投資家はこれが理解できず、上がるか下がるか当てることに時間と労力を使います。

あなたは、この記事で真のチャート分析の方法を身に付けて、そのような当てもの投資家にならないようにしてくださいね。

チャート分析の真の目的

多くの投資書籍や情報発信者は、将来の値動きを当てることを前提にチャート分析の解説をしています。

しかし、将来の値動きを当てようとすることに優位性はありません。

なぜなら、未来を予測するのと同じことだからです。

未来を予測することは不可能なので、チャート上、何かのシグナルが出現したら「上がる」とか「下がる」なんてものはないのです。

明日、上がるか下がるか当たる確率は、絶対に50%を超えられません。

では、何のためにチャート分析をするのか?

それは、買い方と売り方の需給関係を把握するためです。

需給関係を把握しようとすれば、ポジションの建て方やリスクヘッジのやり方を習得することで利益を上げられるようになります。

チャートで需給関係を把握するには、下記の4つのポイントに注意を払います。

  1. 波動
  2. リズム
  3. 変化
  4. トレンド

順番に解説していきましょう。

波動

波動とは、値動きのことを指しますが、特に中勢的な値動きのことを言います。

中勢とは、数か月程度の値動きのことで、一つのトレンドを指します(※トレンドについては後で解説)。

中勢的な動きをチャートで解説

上のチャートの赤線が中勢的な下降の波動、青線が中勢的な上昇の波動です。

初心者は、20日移動平均線(上のチャートの緑の線)を表示すると見やすいですよ。

どんな投資方法でもそうですが、とくに、値ざや(価格差)で利益を狙うなら波動を把握することが重要です。

リズム

リズムとは、小勢のことを指し、日々の上げ下げのことを言います。

小勢は、中勢的な方向とは関係なく動きます。

ただし、中勢的な動きと同じ方向に値幅が伸びやすい特徴があります。

小勢的な動きをチャートで解説

短期の値動きを追って利益を上げたい人なら、リズムを意識した建玉(たてぎょく:ポジションを作ること)をします。

中長期投資をする人は、リズムを無視した建玉をするのが基本です。

変化

変化とは、「リズムの変化」「波動の変化」のことです。

リズムや波動の変化に気づくことで、投資戦略を練ることができます。

また、波動の変化に気づくことは、俗にいうトレンド転換を察知することになります。

中勢の波動を視覚化したチャート

上のチャートは、波動の変化を視覚化したものです。

今まで、250円から340円あたりを上下していた波動(オレンジ線)が、一方向へ動き出す波動(青線)に変化したことが見て取れます。

そして、下のチャートはリズムの変化を視覚化したものです。

小勢のリズムを視覚化したチャート

赤の四角は、今までのリズムに変化があったポイントを示しています。

上のチャートで赤い四角が多いように、リズムの変化はよく起こります。

今まで、同じようなリズムで上げ下げしながら動いていたものが、急に値幅を伴って逆方向に動いたり、保ち合いになるのが変化です。

いち早く、変化に気づくことで短期的な投資戦略を立てることができますよ。

また、波動の先端であれば、「中長期で変化したかもしれない」とアタリを付けることも可能です。

波動やリズムの変化は、自分の専売銘柄を作ることで見逃さないようになるんですね。

トレンド

トレンドとは、値動きの傾向のことを言います。

トレンドには、上昇・下降・保ち合いの3つがあります。

これは、小勢・中勢のどちらにも存在しますが、初心者には中勢で解説した方が分かりやすいのでそうします。

上昇トレンドを形成しているチャート

上昇トレンドは、売りたい人より買いたい人が多いので、下降の値幅より上昇の値幅の方が大きい日が多いです。

したがって、チャートを俯瞰してみると、右肩上がりの値動きになっているのが分かります。

下降トレンドを形成しているチャート

下降トレンドは、買いたい人より売りたい人が多いので、上昇の値幅より下降の値幅の方が大きい日が多いです。

したがって、チャートを俯瞰してみると、右肩下がりの値動きになっているのが分かります。


保ち合いとは、一定の価格を行ったり来たりすることを言います。

これは、一定価格で買いたい人と売りたい人が拮抗してる時に起きる値動きです。

一定の価格は、きっちりしたものではありません。

保ち合いを形成しているチャート

上の緑の水平線のように、大体同じくらいの価格という認識の方が上手く分析できます。

なぜなら、株価は理論で動いているのではなく人気で動いているからです。

あくまで多数決で動いているので、値動きにブレが起きて当然なんですね。

チャートパターンの丸暗記は実践で通用しない!

チャートパターンは、トレンド転換を見極めるために作られたものです。

ところが、チャートパターンには完成するまで分からないデメリットがあります。

だから、チャートパターンが形成される途中で、どんなチャートパターンになるか予測する必要があります。

ところが、パターン形成の途中では、チャートパターンが何パターンも想定できてしまうので、ある時点を持って上か下かを予測することはできません。

例えば、W底という底型を例にとってみましょう。

W底は、下降トレンドから上昇トレンドに転換するチャートパターンとして有名です。

下図の赤い四角で囲った値動きがW底です。

W底のチャートパターンと一般的なエントリーポイント

①~④は、一般的な当てもの的売買の買いのエントリーポイントです。

※当てもの的売買とは、チャートを使って上がるか下がるかを予測してエントリーすることです。

この図のエントリーポイントは、一見、合理的で隙のない解説に見えますが、上がるか下がるかにおいて優位性はありません。

なぜなら、どの時点においても下図のように別のチャートパターンに変化する可能性があるからです。

W底から他のチャートパターンに変形した4つの例

①のエントリーポイントでは、赤線のようにディセンディングトライアングルに変化することがあります。

(※チャートパターンについては、別の記事で解説しますので、ここではそういうのがあるんだなあと思って読み進めてください)

同じように②では、フラット完成(オレンジの線)で下がっていくことがあります。

また、③のようにW底のだましのパターン(ピンクの線)とかいう半ば強引につけられたような名前のチャートパターンで下がっていくこともあります。

そして、④でエントリーした場合は、少し上げましたが、すでに上昇終盤で、ヘッドアンドショルダーズトップ(紫の線)を作って下がっていくことがありますので利益になりません(下がり方は他にもあります)。

①~④のパターンを回避するには、よほど勢いの強い上昇トレンドでなければなりません。

そして、そのような強い上昇トレンドがくるのは、1年に1回か2回くらいです。


また、W底も行儀よく前の安値ぴったりのものばかりではありません。

上図のオレンジ線のように、前の安値まで下がらず上がったり、ピンク線のように前の安値を割って上昇に転じるパターンもあるのです。

このように考えると、チャートパターンを丸暗記しただけでは実践で役に立ちそうもないことが分かっていただけたと思います。


では、チャートパターンが全く役に立たないのかと言われればそうでもありません。

チャートパターンは、波動やリズムの値動きの変化を定義したものだと考えれば利用する価値がでてきます。

何も分からない初心者に、値動きの変化に気づけといっても難しいでしょう。

だから、チャートパターンを勉強して値動きの変化に気づけるようにすることが重要です。


ここまでの話がチャート分析の方法ですが、チャート分析は利益を得るための第一段階にすぎません。

チャート分析により、何パターンかのシナリオが想定できるようになったら、次はポジションの建て方を学んで実行できるようにしなければならないのです。

そして、そのやり方が投資手法になります。

ポジションの建て方を研究して作られた投資手法にうねり取りがあります。

うねり取りは、私が使っているやり方で下記の記事を参考にしていただければ理解できますよ。