
この記事は、下記の悩みを持つエリオット波動について勉強し始めた個人投資家向けに書きました。
- エリオット波動のダイアゴナルについて基本定義が知りたい
- ダイアゴナルが出現しやすいポイントを教えてほしい
- どのように実践で使うか知りたい
記事を読むことで、ダイアゴナルの定義と基本戦術について学ぶことができます。
前回書いたインパルス同様、ダイアゴナルについてもガイドラインがあるので、解説すること自体は可能です。
ただし、実践家でない人や深く研究してない人が書くと、ただの理想論になりがちです。
私は、実際に相場へ身銭を切って参加している実践家なので、理論だけでなく実際の経験や検証に基づいて書きました。
【実績】2019年9月から12月までの株式投資の収益公開(過去は2015年から公開してます)
この記事は、なるべく易しく書くことを心掛けていますが、エリオット波動の簡単な知識を持っている人を前提に書いていますので、読んでいて専門用語が分からない人は「エリオット波動の基本【自分のトレードに活かせるか判断できます】」という記事から読み始めると理解しやすいですよ。
また、ダイアゴナルの基本定義を学習する前に、下記の動画を合わせて視聴することで知識の定着につながります。
ダイアゴナルの基本定義
ダイアゴナルは、5-3-5-3-5か3-3-3-3-3の副次波で構成される推進波です。
5-3-5-3-5型ダイアゴナル

3-3-3-3-3型ダイアゴナル

基本の波形は、1波と3波をつないだ線と2波と4波をつないだ線が交差するように近づいていく形になります。

ダイアゴナルもインパルスと同じ推進波ですが、大きな違いは、4波が1波に重なることと波の構成が3-3-3-3-3の場合もあるということ。

まずは、この基本定義をしっかりと覚えておきましょう。
波形の例外
ダイアゴナルは、トレンドの形にはなっていますが、まだ投資家が疑心暗鬼だったり、買い手と売り手のパワーバランスが交代しそうになった時にでてくる波です。
よって、ファンダメンタルズの影響を受けたときなど、定義通りの波形にならないときもあるのです。
ただし、しょっちゅう崩れるわけではなくて、たまにあるくらいなので安心してください。
波形には下記の3つの例外が存在します。
- スローオーバー
- フェイラー
- 拡大型ダイアゴナル
スローオーバー
本来ダイアゴナルは、1波と3波をつないだ線が5波の終点となるのですが、時々つないだ上値ラインを越えることがあります。

上昇の場合は、投資家が疑心暗鬼だったり、そろそろ買いの勢力が衰えてきたところ、思わぬ材料で株価が高騰したときに現れます。
このようなときは、ニュースで株の売り買いをしている素人が最後の買い手となっていることが多く、その後に買い手がいなくなるので絶好の売り場となります。
次の下落の深さは、リーディングダイアゴナルかエンディングダイアゴナルかで変わってきますが、一旦の天井を疑うべきポイントなんですね。
下落の場合は、上昇の全くの逆で、市場が総悲観しているところ、さらなるバットニュースにより最後まで頑張っていた素人の投資家が焼き付くされる場面でもあります。
その後、売る人がいなくなるので、一旦の底をつけることが多いんですね。
ダイアゴナルの例外は、あまりないと言いましたが、スローオーバーは3つの例外の中で、比較的、出現しやすいので覚えておきましょう。
フェイラー
フェイラーとは、失敗するという意味ですが、ダイアゴナルの条件を満たしているのに、5波の終わりが3波の終わりに届かない場合があります。

これは、ほとんど出現しないのですが、ファンダメンタルズの影響を受けたとき、3波が長かったり、3波の後に急落した場合、5波が3波の終点に届かない場合があるのですね。
下落の場合は、上昇の逆で、3波の後に急上昇した後、前の安値である3波の終点を割らないで株価が上昇していくパターンです。
拡大型ダイアゴナル
通常ダイアゴナルは、くさび型に収束していく形が多いのですが、上下に大きく振れて、拡大していくパターンもあります。

トレンド方向へ向かっているもの、いまいち疑心暗鬼な投資家とトレンド方向への動きに強気、または弱気である投資家が交錯していて、やや強気であったり、弱気な投資家が多いことが分かります。
出現ポイント
ダイアゴナルは、トレンドの初期に出現するリーディングダイアゴナルと最後に出現するエンディングダイアゴナルに大別できます。
リーディングダイアゴナル
上昇トレンド初期では、投資家が疑心暗鬼になっていたり、下降トレンドでは、まだ強気な投資家の抵抗にあっている場合、リーディングダイアゴナルが出現しやすいのですね。
上昇

下降

また、大波動の下落途中にリーディングダイアゴナルが出現した場合、上昇への転換だけでなく、中波動ベースでのジグザグやフラットといった調整になる場合もあります。

上の図は、大きな波動の下げ場面の戻り(中波動のジグザグ)で出現したダイアゴナルです。
ダイアゴナルは、インパルスの1波だけでなく、ジグザグやフラットの1波にも出現するので上図の可能性も考えられるのですね。
エンディングダイアゴナル
上昇トレンド終盤では、買い手の勢いが衰えてきたことを表し、下降トレンド終盤では、売り手が少なくなって買い手が増えてきたことを現します。
これがエンディングダイアゴナルです。
上昇

下降

ただし、上昇トレンドの最後と下降トレンドの最後に必ずエンディングダイアゴナルが出現するというわけではありません。
いわゆるバイイングクライマックスやセリングクライマックスの形は、インパルスになるからです。
戦略(ダイアゴナルの性質を使った流れの読み方とポイント)
ダイアゴナルを使った戦略は、ダイアゴナルが出現した後から始まります。
その戦略は、リーディングダイアゴナルとエンディングダイアゴナルで変わってきます。
リーディングダイアゴナルの戦略
まずリーディングダイアゴナルが出現した時は、主に仕掛けの戦略をとることができます。
上昇か下降のどちらでもダイアゴナルが出現したということは、トレンドが出現したことになりますね。
上昇と下降は、スピードこそ違えど、逆の考え方なので、分かりやすく上昇で例を挙げていきますね。
大きな波動の下げの後にダイアゴナルが出現した場合は、転換か修正を疑います。

もし、ダイアゴナルが出現したのが転換であれば、その後の修正はジグザグかフラット、そしてトライアングルになりますね(上昇の2波であるとすればジグザグが多い)。

そのどれかが修正完了した時点を狙って3波を狙うわけです。

上図の青線は、フラットの例外である巨大化したフラットと呼ばれるものですが、ジグザグとの判断が難しいです。
しかし、実践では、フラットかジグザグかを精密に判断する必要はありません。
重要なのは、2波はジグザグが出現しやすいことであり、すなわち修正が深くなりやすいことを頭にいれておけば、このような動きでも対応できるはず。
上図では、ダイアゴナルでの上昇に対して、フィボナッチ数列の100%戻しをイメージしていただければ分かりやすいと思います。
そうすれば、次の波動がインパルスでなくとも、少なくともダイアゴナルの天井までの上昇(いわゆるボックスとなる動き)が期待できます。
次に、大きな波動の下げの戻りであれば、ダイアゴナルは中波動ベースの調整の一部となり、すなわち、ジグザグ、フラット、トライアングルの一部となります(大きな下げの後にいきなり転換するのもまれなので、確率的には、こちらの可能性を疑った方がいいかもしれません⇒200MAとの位置関係も同時に判断して)。
ジグザグやフラットであれば、2波の下げ完了を見計らって買うことで一定の上昇の値幅を狙うことができるでしょう。
修正波といえども3波はインパルスかダイアゴナルになりやすいので、スイングトレードなら利益を上げやすいでしょう。

下げでもそうですが、新しくダイアゴナルが出現した時に、次は、どんな波動がくる可能性が高いのか予測できれば、チャンスがくるまで待っていて、予測方向にエントリーすることによって優位性が高まりますよ。
エンディングダイアゴナルの戦略
エンディングダイアゴナルは、その名のとおり波動の最後に出る波です。
つまり、エントリーよりイグジットで出口戦略に使います。
大波動の5波までとれた長期投資家やグロース投資家なら、この辺で利食いしておいた方が、その後の暴落に巻き込まずに理想的な形で利益確定をすることができるでしょう。
また、4波の押し目で買えたトレーダーなら、いまいち上昇が鈍いと感じた時、ほどほどで手仕舞うことが、不要なメリを出さないことにつながります。
これは、空売りの場合も同じで、下げは、上げより玉を長く持ちやすいので、トレーダーでも底あたりまでポジションを持つことが可能です。
そういったときに、エンディングダイアゴナルが出現したら、急な反発を警戒し、ほどほどで手仕舞いしておくことが吉です。
なお、エリオット波動を使って実際の取引をするときは、その本質について理解してないと、ほとんど役に立たないどころか逆効果になってしまいます。
その本質を理解して実践で使えるように下記のnoteでまとめましたのでご参考いただければ嬉しく思います。