
この記事は、下記の悩みを持つ個人投資家向けに書きました。
- ダウ理論を使った損切りポイントを教えてほしい
- ネット記事の上位ランキングに掲載されていた方法で上手くいかなかった(怒)
- どうしてダウ理論の損切りポイントが機能するのか知りたい
記事を読むことで、ダウ理論を使った損切りの方法が分かり、そこから自分なりの損切り方法を確立するためのヒントを得ることができます。
私も実際のトレードでダウ理論の損切り方法からオリジナルな損切り方法に進化させました(恐らく多くのプロのトレーダーがここまで昇華させていると思います)。
その知識と経験を元に記事を書いています。
究極の損切り方法は、値動きを見ておかしいなと思ったときに一時的に撤退することです。
しかし、それだけだと初学者にとってあまりにも目安がないので、とっかかりとしてダウ理論を使うのが分かりやすいと思います。
ダウ理論の損切りポイントは、かなり機能します(もちろんエントリーポイントにも左右される)が自分が作る優位性があると思う損切りルールが確立するまでのつなぎと思っておいた方がいいでしょう。
ただし、そもそも的外れなポイントでエントリーしていれば、損切り貧乏になったり、後述するフラクタル構造が理由で機能しないこともあります。
今回は、その辺も含めて解説していきますね。
ダウ理論を使った基本的な損切りの考え方
ダウ理論から損切り方法を導き出すには、ダウ理論内の下記3つの理論を応用します。
- トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
- トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される
- 主要なトレンドは3つの段階から形成される
1の理論の反対を考えると、明確な転換シグナルがでれば、そのトレンドが終わりということになりますね。
そして、2と3ですが、ダウ理論で損切りのやり方を実行しているのに上手くいかない人が抜けてる理論です。
どのように上手くいかないかというと、1の理論通り転換シグナルが出たので損切りしたところ、少し逆行したところで、元のトレンドに戻ってしまったといったところでしょう。
この原因は、2と3の論理が抜けていて、チャートをフラクタルに見ることができていないのと、自分が狙っている波動があやふやなことに原因があります。
では、この3つの内容について、さらに深堀りしていきましょう。
明確な転換シグナルとは?
フラクタル構造抜きで考えると、トレンドの形成は、上昇トレンドなら直近の高値を更新して、直近の安値を割らないことです。

下降トレンドなら直近の安値を更新して、直近の高値を越えないことになります。

これらが崩れたときにトレンド転換が起きるので、それが転換シグナルというわけですね。
上昇トレンドの転換シグナル

上昇トレンドの転換シグナルは、前の安値を割り込み、前の高値を越えられないポイントになります。
下降トレンドの転換シグナル

下降トレンドの転換シグナルは、前の安値を割らずに前の高値を越えた地点となります。
転換点については「【株式投資】私が使っているトレンド転換を見極める方法【本質論】」で詳しく解説していますのでご参考ください。
この明確な転換シグナルの理論から損切りポイントを考えると上昇トレンドなら直近の安値、下降トレンドなら直近の高値に損切りラインを引くことになります。
ただし、相場にはノイズが生じるので、本来のラインより離れたところに損切りラインを置くことがポイントです。
基本は、2tick(tickは値動きが起きる最小単位)離れたところにおくのですが、銘柄の癖によって変わってきますので、過去のチャートの検証から優位性のあるポイントに置くといいですよ。
トレンドが形成されていることが前提
ダウ理論の損切り方法は、トレンドの形成を前提にその崩れを根拠にしているので、トレンドがないところでは優位性が発揮できません。
すなわち底練りや天井圏のもみ合いであったり、日柄調整型の複合修正波のような波動を見せているときは、やり方が変わってきます。
日柄調整型の複合修正波が分からない人は、「【エリオット波動】複合修正波の基本と実践的な見方【株式投資】」という記事をご参考ください。
一つ前の波動の4波の終点は意識されることが多い
この話は、小波動から小波動のつなぎ、すわなち中波動ベースの大きさのトレンド継続に役立ちます。
小波動の天井や底を迎え、少し大きな調整後、再転換して元のトレンドに戻るシーンです。

一つ大きな波動を読んで、エントリーに成功すれば大きな波に乗れます。
その時に使えるのが前の推進波5波の副次波の4波の終点を損切りラインにすること。
これは、覚えておいて損はしませんよ。
基本的な損切りで上手くいかないのは自分勝手にチャートを見ているから
ここまでの理論を使った損切り方法で上手くいかない人は、チャートをフラクタル構造で見ることができないことに理由があると思います。
すなわちチャートをフラクタルに見ず、自分のトレードする期間のみに意識を持っている、またはフラクタルに見るレベルに達していないの原因ですね。
だから、チャートはあてにならない、私には向かないという安易な結論に走ってしまうのです。

上図では、小波動の副次波と中波動の押しをごっちゃにして損切りラインを設定した失敗例です。
チャートをフラクタル構造で見られるようにするには、エリオット波動を学ぶのが一番かなと個人的には思ってます。
底や天井圏のもみ合いはダウ理論関係なしに考えた方がいいことも
大底や天井圏の損切りポイントは中波動ベースの転換を想定した方がリスクリワードが高くなります。

もちろん、小波動の上昇をターゲットにしてもいいのですが、その場合は短期売買となり小さなトレンド内でダウ理論の損切り方法を使いますが難易度は高めです(私は場所によってこれを採用しています)。

トレンド中の動きと大底と天井の転換点の違いは、高値安値のバランスが切り替わること。
転換点の値動きの特徴を利用した下記の3つをベースに損切りラインを設定するのがベーシックな方法になります(天井圏は逆です)。
Wタイプの値動き

W底は、前の安値を割らずに上げてきたところを転換になるのでは?と予想してエントリーするのですが、損切りラインは、ライン1の前の安値になります。
基本書では大抵、ライン1は安値同士をつなげたところですが、私の経験では、ライン1まで戻さず上げたところの方が上昇しやすいので、上図ではライン1の上に空白があり、歪んだWをあえて描いています(そうすると、ダウ理論を想定したものになるのだが)。
本命は、ライン2を採用しているエントリーです。
ここでは、一つ前の安値であるライン1を損切りライン(ダウ理論)にしてもいいのですが、そこまで下がってくると上昇するかどうか分からなくなってきます。
そこで、Wの頭であるネックラインに損切りラインを置くわけです。
これは、ダウ理論を継承しているエリオット波動の上昇を想定したものですが、例えばインパルスの2波はジグザグが出やすいので、一つ前の1波はある程度上昇した方がやりやすいのですね。
ヘッドアンドショルダータイプの値動き

転換の一つの型である(逆)ヘッドアンドショルダーは、前々回の押し安値(下降推進波3波or5波目の副次波4波の終点)と切り返しと見られる上昇の押し目をつないだラインを損切りラインとします。
ダウ理論を使うならライン1が損切りラインになりますが、そこまで下がると再下落かWで止まるのか分からないので、ライン2の位置を損切りラインとするわけですね。
この損切りラインは、(逆)ヘッドアンドショルダーという形が転換点になり、その場合ライン2を割らないことが多いからか、(逆)ヘッドアンドショルダーが出現したらライン2で跳ね返しやすいからなのかは、鶏が先か卵が先かの関係で、もっぱら経験則になります。
ただし、かなり機能するので研究してみてください。
ボックス
ボックスは、買いと売りの需給が均衡し、一定の範囲内で動いていて、トレンドを形成していません(エリオット波動の場合は日柄調整型の複合修正波)。
よって、ダウ理論で優位性の高い損切りラインを決められないのです。
ただし、ボックスだと分かる前と分かった後では、損切り位置が変わります。
まず、ボックスだと分かる前は、通常のダウ理論を使った損切りラインを設定します。

また、W底や(逆)ヘッドアンドショルダーの損切りラインを採用してもいいでしょう。
次にボックスだと分かったときの損切りラインです。

ボックスだと判断できれば、買いの場合は下値ラインが損切りラインとなり、空売りの場合は、上値ラインが損切りラインとなります。
一つ上の波動と同じ方向にエントリーしておいて、抜けるのを待つときに使える損切りの仕方ですね。